第4話

どれほどの時間が経過したのだろうか。

不思議とお腹は減らない。

ただひたすら文章を打ち続け、反応を待った。

しかし何ら変化は訪れない。

文字を入力し、文章を誕生させる。

もしかしたら反応するまでには時間が掛かるのかもしれない。


だから空間内をあちこち行ったり来たりを繰り返し、再びここに戻ってくる。


何も変わらない。

変わるために必要なものは何か。


それは文字化できるものなのだろうか。


そして文字を打ち込む。

正解と呼ばれる文章を探し、追い求めるように。

文章を作り出すこと以外に、可能なことは何もないのかもしれない。


延々と繰り返し続けた。


次第に、ひとつのことに気がついた。


時間がない。


そう呼ばれるもモノの存在を遠くに感じられた。


そもそも時間は存在しているのだろうか。

それは一種の誤解で、本来は存在していないのではないか。


時間とは変化だ。


意味のある変化。

能動的な変化。

不可逆的な変化。


空腹を覚えず疲労も感じず、尿意や便意を催すこともなく。

朗々と過ぎ去るこれを、はたして時間と呼べるのか。


ただ、それでも、こうして刻々と変わりゆく文章を打ち続けているのは確かであり、それが有意義か無意義かはともかく、変化をもたらしているのは確かだった。


だが状況は変わらない。

変わるのは文字だけ。


言葉の意味を理解してる?


何やら混乱が生じ始めていたとき、真っ白な壁の中央に文字が浮かび上がってきた。




 この小説はノンフィクション






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ホワイトルーム 夏蜜柑 @murabitosan

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