43.嵌められた高崎

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。

 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

 青山たかし・・・元丸髷署警部補。EITOに出向、後に就職。

 青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向、後に就職。青山と結婚した。

 真中瞳・・・池上病院看護師長。

 真中志津子・・・池上病院総看護師長。

 壁元医師・・・池上病院産婦人科医。

 池上葉子・・・池上病院院長。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 井関梅子・・・井関の妻。

 井関五郎・・・警視庁からのEITO出向。井関の息子。

 片桐[井関]志麻子・・・井関の娘。五郎の妹。

 新町あかり巡査・・・EITO東京本部隊員。みちるの後輩。警視庁からのEITO出向。

 大文字伝子・・・EITO東京本部隊長(アンバサダー)。


 ================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 ※警視庁の鑑識は、事件現場で指紋や足跡などの証拠を採取・分析し、犯人を特定する仕事です。

 警視庁の鑑識技術者になるには、大学で関連の専門学科を卒業し、警視庁の専門職種1類の「鑑識技術」用の採用試験に合格する必要があります。採用人数は少なく、狭き門といえます。採用されると、警察学校で約4週間の研修があり、国や民間研究機関への派遣研修制度もあります。

 鑑識課の仕事には、次のようなものがあります。

 1. 事件現場に出動して、指紋や足跡などの手がかりを探す。

 2. 採取した指紋を調べて犯人を特定する。

 3. 同じ人の指紋か確認する。

 4. 事件現場に残された足跡などを調べ、犯人の靴などを特定する。

 5. 似顔絵を描く。


 午前10時。池上病院。産婦人科。診察室前。

 伝子は、あかりと井関五郎の様子を見に、井関権蔵、片桐志麻子親子と連れてやって来ていた。

 院長と壁元医師が出てきた。

 壁元は、笑いながら、どこかへ去って行った。井関五郎は、さっと伝子の後ろに控えた。

 伝子の隣にいた井関権蔵が立って、池上院長に尋ねた。

「いかがでしたか?」

「『初めて』はまだみたい。今のところ、ね。でも、古風ね。『ケガレ』を気にするなんて。」

「先生、それ、女房に言って貰えます?私、顔はいかついけど、古くさくないですよ。」

「井関さんの奥さんのご先祖って、『与力』だったんですって。」

「それと、『おんなは鑑識出来ない』って言われて警察辞めたって聞いてます。私は鑑識課員になれたけど。あ、美由紀と同期なんです。」と、片桐は言った。

「そう。よろしくね。」と、伝子は会釈した。

「おふくろは古いんですよ。志麻子の時も結婚前に何度も検査させて。」と、五郎は膨れた。

「いいのよ、五郎。嫁に相応しいかどうか確かめるのは当然よ。」

「なぎさの姑さんも厳しいが、そこまでは拘らないものなあ。」と、伝子は言った。

 伝子のスマホが鳴動した。

 中津健二からだった。

「大文字さん。やはり、尾行がついて来ました。サンシャインでデートさせたのは成功でしたね。今、高崎と泊が逆に尾行しています。高崎は張り切っています。プロなのに尾行失敗したことがあるから。」

「それは、相手の『幹』が強者だっただけですよ。」

 伝子は、井関の母の要望と、この頃大人しいダーティー・ブランチが陽動にひっかかるかどうかを『一石二鳥』作戦で行っていた。

 ダーティー・ブランチとは、EITOが闘っているダークレインボーの幹部、『幹』のことである。伝子はサンシャインビルでの事件は、まだ終っていない、と勘づいていた。

「じゃあ、院長。井関さん達を秘密通路へ。」「了解。瞳、お願いね。」

 池上院長は、看護師長の真中瞳に命じた。

 実は、池上病院と、隣の池上家は秘密通路で繋がっているのだ。

 午前11時半。山手線車中。

「まだ、あのサンシャインに、ねじろがあるんですかね、高崎さん。」

「ああ。わざと捕まえさせたのかもな。夏目リサーチが失敗したんじゃない。やはり、今度の『幹』は、かなり手強いな。」

「キャー!!痴漢よー!!」と、近くにいた女子大生風の女が騒ぎ始めた。

 高崎がしまったと思った時は、遅かった。

 女は、高崎達を駅員室に連れて行かせ、いつの間にか姿を消していた。

 嵌められたのだ。

 ―完―

 ※「大文字伝子が行く310」に続きます。


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