42.医療ネットワーク
===== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
青山たかし・・・元丸髷署警部補。EITOに出向、後に就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向、後に就職。青山と結婚した。
真中瞳・・・池上病院看護師長。
真中志津子・・・池上病院総看護師長。
壁元医師・・・池上病院産婦人科医。
池上葉子・・・池上病院院長。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前10時。池上病院。産婦人科。診察室前。
青山と泊が、手持ち無沙汰なので、仕事の話をして気を紛らわせていた。
江南が出て来る。継いで、根津が出てくる。
今日、池上病院では、壁元医師が午後から学会出席の為、院長の池上葉子が応援に入っていた。
池上院長が、江南と根津の後から出てきて、青山と泊に言った。
「2人ともまだよ。でも、健康よ。ご苦労様。」
会釈して、院長が診察室に入ろうとしたが、看護師長の真中瞳が血相を変えて走ってきた。
廊下の向こうには、ナイフを持った男が走って来ている。
「院長。暴漢です。院長を出せと言って・・・。」
「瞳。管内電話を使いなさいよ。何か急用ですか?暴漢さん。」
院長の毅然とした態度に気後れしたが、「医療ネットワークとやらは、中止しろ。断念するんだ。」
男の言い分に、「何を言っているのかしら?新しい医療ネットワークは、複数の理事にお任せしてあります。私は提唱者に過ぎません。」と、院長は平然と応えた。
「んん。お前が偉いさんなんだろ?」と、男が言うと、「院長だから、偉いさんに違いないね。ここ、病院だから。忘れた?診察券は?お名前カードは?」と、壁元医師が出てきて言った。
「ふざけるな!!」
男が激高すると、総看護師長の志津子がやって来て言った。
「静かに。病院内では静かに願います。因みに、私の名前は静子よ。」
男が更に激高した。
「な、何だとー!!」
「血圧、600位行ったかな?ちょっと、計って見て、看護師長。」
男の怒りが頂点になり、顔は真っ赤っかに染まった。
根津が平手打ちを、男に食らわせた。
江南が、大外刈りをかけた。
青山が、誰かが忘れた傘をフルーレの代わりにして、男の胸をついた。
「お、お前ら、なんだ?」
「元警察官だけど?」と、根津が言った。
「元警察官だけど?」と、江南が言った。
「元警察官だけど?」と、泊が言った。
「元警察官だけど?」と、青山が言った。
「何だよ、元、元、って!!」男が叫ぶと、男の手に手錠がかかった。
「現役警察官だけど?何か問題でも?」と、中津警部が言った。
「実は、俺も元警察官なんだ。」と、遅れてきた中津健二が言った。
「ああ。私も元警察官。まあ、今は肩書き違うけどね。半グレの谷中商会さんの紹介さんかな?ホントの依頼者は警察で話してね。」と、高崎がやって来て言った。
男が、中津警部と「現役」警察官に逮捕連行されるのを見ながら院長が言った。
「いいこと教えてあげる。新しい医療ネットワークに入った病院ではね、暴漢センサーがエーアイと連動して、警察に自動的に通報することになっているの。」
診察室に戻る時、壁元が院長に尋ねた。
「今の、本当ですか?」「ええ。工事はまだだけど、着工予定よ。埼玉県の『物騒な町』対策として提案したの。」院長は平然と応えた。
青山夫婦と根津夫婦、中津健二が引き揚げて行った。
「ウチの院長は『ハッタリ』はかますけど、実行もするのよ。」と、瞳が言い、「じゃ、持ち場に戻りましょう。あ、今の誰に向かって言ったの?」と、志津子が尋ねると、「さあ。」と、瞳が指をさした。
廊下の向こうで、中津公子が会釈した。
―完―
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