39.U教授からの攻撃

 ===== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

 中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。

 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

 泊(根津)あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

 宮田孝之・・・元京都大学准教授。感染症学者。奸計に填まり、幽閉されていた。

 矢野警部・・・現在は、『公安』所属。テロ対策室への異動が決まっている。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 ※おさらい

 京都大学の宮田元准教授は、殺害されていたのでは無く、欺されて拉致された。宮田准教授は第二俯瞰株、つまり、オマージュ株のからくりを見抜いて自ら人工コロニービールスを実験し、それ用の枠朕を開発し証明した。

 そして、宮田元准教授が邪魔な集団が、今度は第三俯瞰株として人工コロニービールスを開発、枠朕の実験を兼ねて宮田元准教授を実験台にしていた。大阪市港区のふじ港病院別館に幽閉されていたのである。

 EITO大阪支部のEITOエンジェルズの活躍によって、救い出された宮田元准教授は、中津興信所の地下に出来たシェルター内にラボを用意され、敵からの侵入・攻撃に備えて待避していた。

 大阪府警の小柳警視正が、宮田元准教授の誘拐・幽閉に関与したと目される浦西教授と『黒幕』が、いつか、邪魔な宮田元准教授を襲うかも知れないと、警視庁の村越警視正に進言、村越は中津警部とEITO東京本部司令官である斉藤長一郎理事官と相談、斉藤はEITO秘密基地横の中津興信所の地下にシェルターを急ピッチで建造させた。

 宮田准教授は、研究の傍ら動画を通じて新ビールスと枠朕の怖さをアピールする活動を開始した。加計教授は、世間とのパイプ役になった。


 9月22日。秋分の日。午前10時。中津興信所。所長室兼会議室。

「夏目リサーチのお陰で、裁判に現れて襲った餅屋伊都子が、食中毒事件を起こしていたホテルに出入りしていたことが判明、餅屋は開き直って、背後の組織に浦西が噛んでいることを臭わせた。だが、それ以上は言わない。君たちの使命は、地下の教授を守るだけじゃない。これからは、情報戦も加わる。EITOとも夏目リサーチとも連携をして、事に当たってくれ。夏目リサーチには、警視庁テロ対策室から本社には繋がらないが、別室には繋がる。」

「チームプレイは得意だって、知ってるくせに。」と、健二は不平を言った。

「まあ、社交辞令だな、健二。緊急時には、直接繋がることもある。以上だ。」

 中津警部の話を聞き終えると健二は、「取り敢えず、ここ数日は、ホテルの監視だ。どこかで、組織に繋がっている可能性がある。」と、宣言した。

 午前11時過ぎ。

 健二達はアンパイヤーステーキホテルに向かう準備をしていたが、突然マルチディスプレイに中津警部が映った。

「緊急だ。さっき、EITOのエマージェンシーガールズが、ダークレインボーが指摘したらしい御成門の、いや、芝公園のパレードの場所に向かったんだが、誰も来ない。時間が切迫しているし、都知事の指示で、警備会社の警備員と私服警察官で、各出入り口より手前で封鎖したが、連中は来なかった。多分、斥候係がいて、連絡したのだろう。ところが、大文字君は、必ず来る筈だ、と言う。そこで、時間をずらした午後2時までに、君たちに待機して貰って、監視してくれと言う。」

「何か作戦があるんだな。具体的には?」「公安がよく使う、監視用の空き家がある。そうでない空き家も実は付近に数件ある。パレードが始まれば、空き家か留守宅かは分からない。君らは、監視用の空き家で待機、他の空き家や、付近の出入りを確認してくれ。無人の場所での戦闘ではなく、パレードの最中に乱入するパターンなら、EITOが戦闘に入ると同時に避難誘導も必要だ。君らは、その瞬間は避難誘導も速やかにやって欲しい。避難誘導は、応援も頼んであるそうだ。」

「了解。」

 午後2時。オクトーバーフェスト2024芝公園会場付近。

 中津達は、指定の空き家に待機した。

 他の空き家に出入りする者は全てチェック、撮影した。

 そして、どこからともなく、集団は登場し、エマージェンシーガールズも到着した。

 中津達は、撮影機材を自動にし、浦野助の『芝居』に合わせて群衆の避難誘導に取りかかった。

 避難誘導は、物部達と共に行い、結局、1時間後には、エマージェンシーガールズは敵を殲滅した。あちこちから賛美の声や拍手が沸き起こる中、警官隊はスムーズに逮捕連行した。

 午後4時。

 本物のパレードやイベントが進んでいる頃、中津達は、帰路の車中で、中津警部からの連絡を受けた。

「忙しくて済まないな。先日、裁判の邪魔をした餅屋伊都子が仮釈放される。午後6時の予定だ。」

「兄貴。泳がせるのか。ナイフガンナイフは所持していたが、実際は大声あげて妨害しようとしただけで、不起訴、ってことで。黒幕の存在と引き換えの、『司法取引』か。」

「ま、そんなとこだな。尾行を頼む。チームプレイでな。」

 午後6時。警視庁から餅屋が出てきた。

 迎えの自動車に乗った。

 中津達の尾行が始まった。

 午後7時。渋谷公会堂。会議室。

 宮田の『新ビールスの可能性について』という講演が開かれた。

 その部屋に闖入者が2人。

 部屋の中央にモニターテレビがあり、カメラや録画機器と繋がっている。

 呆然とする2人に、画面から声が聞こえた。

「えっと、殺し屋さんですか?危ないなあ。今ね、ライブ中継しています。私の秘密のスタジオと、渋谷公会堂と。」

 背後から現れた、矢野警部と警官隊が、速やかに逮捕連行した。

 餅屋とツレの男が持っていたのは、ナイフでは無く、拳銃だった。

「拾ったモノ」では無いことは明白だ。

 渋谷公会堂の外。

 自動車の中で待機していた中津健二は言った。

「ドライブインでラーメンでも食うか。」

 ―完―

 ※このエピソードは、「大文字伝子が行く306」と連携しています。

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