一通目 2

仕事を終えて家に帰り着いたのが、日付の変わる少し前。

靴を脱いでそのまま明かりのついているキッチンに行き中を覗いた。

両親は自室へ引き上げてしまったらしく、薄暗い室内はシンと静まりかえっていた。

白いレースのテーブルクロスもその室内の風景に溶け込むようにトーンを落とす中、その上に置かれたあるものが目をひいた。

それはレモン色をした洋形封筒で、宛先には僕の名前、裏返してみると従兄弟の名前だけが左下の隅にぽつんとあった。

僕は封筒をひと通り確認したあとネクタイを緩め、サイドボードの引き出しからペーパーナイフを取り出し、開封した。

中には一枚の便箋が入っていた。


「長らくご無沙汰しておりますがいかがお過ごしでしょうか。

僕は就職先で元気にやっていますので心配はいりません。

大変お世話になったにも関わらずきちんと挨拶もせずに出ていってしまったこと、申し訳なく思っています。

しん兄と過ごした日々はとても楽しく今は僕の大切な思い出となっています。

冬の日はよくストーブをつけて一緒に読書をしましたね。

凍えそうに寒い日はしん兄に教えてもらった詩をたまに口に出してあのころを懐かしく思います。

また会う日までお元気で」



等間隔にきれいに並んだ文字はなんだか味気なかったが、彼の安否がしれて僕は安堵した。

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雪が @yeri

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