第207話 もうすぐクリスマス


 「なるほど…」


 現在家の応接室で、契約してる警備会社さんのお偉いさん--社長さんとお話をしている。ライブする時の会場の警備なんかもここの会社にお任せしようと思ってて、それの諸々の相談だ。


 が、ここで少し問題が。

 契約してる警備会社さんはそこまで大きくないのだ。全従業員さん合わせて100人も居ない。警備出来る人ってなると、50人居るか居ないか。


 流石にそれだけで広い会場の警備を任せるってのは無理な話である。


 ここの警備会社さんは例によってコネで紹介してもらったところで、今も家の門の近くの庭に建てた常駐所に常駐するって感じで、ローテーションで警備もしてもらっている。


 家に突撃してくるような馬鹿は減ったけど、それでも何があるか分からないし、警備してる人がいるってだけで抑止力にもなるからね。


 そこらのスーパーに買い物に行く時だって付いて来てくれるんだぜ。なんかこれだけ聞くとスターにでもなった気分だ。


 実はコスプレの時も、近くで警備員さん達は待機してくれたんだ。


 配信者としてだけなら、過剰な警備かもしれないけど、俺達って今では日本でも結構な金持ちの部類に入る。それを隠してる訳でもないし、金目当てで襲ってくる奴がいないとも限らない。


 後はどこかの企業からの脅迫紛いのあれこれとかもね。偶に大企業からそういう連絡があったりもする。


 まあ、俺達の身辺はちょっと危険な雰囲気があったりもするんだぜって話はさておき。


 会場の警備は別のところにお願いする事になりそうだ。関係も良好なこの警備会社に任せられるのが一番だったんだけど、人が足りないんじゃ仕方ない。


 どこか良い感じのところを探さないとな。





 「アルバムが発売されて三日経ちましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。谷圭太です」


 「梓よー」


コメント

・はじまた

・買ってからずっと家で流しっぱなし

・サイン入りのやつ当たったぜ


 世間はすっかりクリスマスムード。

 十二月の半ばになって、イルミネーションがうんたらとか、テレビで特集されてたりする。


 俺達は変わらず配信。

 三日前に発売されたアルバムの売れ行きは好調っぽくてなにより。余裕を持って準備した事もあって、店頭で発売されてるところでも売り切れーとかそういう話は聞いてない。


 まあ、最近はCDとかアルバムを売れにくくなってるみたいだからなぁ。それこそ特典とか付けて特別感を出さない事には、スマホで聴けたら充分って人も少なくない。


 そんな中で結構売れてるぞってニュースはありがたいよね。俺達が初めて出したってのもあるんだろうけど。


 特典も色々付けたしさ。


 「結構高かったろうに、みんな買ってくれてありがとうね」


コメント

・自分へのクリスマスプレゼントと思えばな

・子供へのプレゼントにするってのもSNSで結構見るぞ

・映画の影響か『ルトゥール』は子供人気も凄まじいからな

・そう言えば映画の続編はまだか?


 「子供へのクリスマスプレゼントねぇ。CDよりゲームとかの方が喜びそうだけど…」


 「確かに。CDが無くてもネット環境があればいつでも聴けるしな。まあ、プレゼントにしてくれるのはありがたいけど」


 ありがたいけど、ゲームとか、スポーツ用品とか、そういうのに勝てるぐらいの代物かって言われると自信がないよね…。


 いつでも聴けるんだもん。


 「あ、映画の続編だけど、ちょこちょこ作ってはいるぞ。最近忙しくて中々進まないけど、なんとか来年に一つ完成させられたらなって思ってます」

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