第206話 一段落


 「やーっと終わった!! みんなお疲れさーん!」


 「お疲れ様ー!!」


 季節はもうすぐ冬になろうかというところ。


 会社やら法人団体やらを一気に作るという少し無茶なタスクをようやく終わらせる事が出来た。


 一緒に働きたいって言ってくれた、色々な知り合いには感謝感謝だ。


 「まあ、会社関連がこれで終わっても、来年のライブの打ち合わせやらがあるし」


 「ちょっと色々詰め込みすぎたわよねぇ」


 「アルバムの発売ももうすぐだよね! そっちはもう特にやる事ないけど! 楽しみだなぁ」


 「予約の時点で結構凄いもんなぁ…」


 十二月の半ばに、ファンのみんなが待ってくれていたアルバムが発売される。それの準備も結構キツかった。


 特典の直筆サイン入りアルバムとかで、何枚もサインを書いたし、メッセージカードとかも全部手書きだ。


 海外用とかその国の言語に合わせて書いたりと、それだけでかなりの時間を使っている。


 「もうそろそろ今年も終わりかー。早かったなぁ」


 「顔出しして、一気に周りが騒がしくなったりして、休まる暇が無かったわね」


 「旅行とかも行きたかったけど、マジでそんな暇がなかったよな」


 今年派手に遊んだのって、コスプレしたぐらいじゃないか? それぐらいしか遊んだーって感じの事をしてない。


 まあ、俺達にとって配信が遊びだし、仕事に追われてるって気はしてなかったから、日々楽しく過ごせてたけど。


 「来年も旅行は行けないだろうな…」


 「ライブツアーが旅行代わりになるんじゃない? ついでに観光すれば良いわよ」


 「なるほど。確かにそれもそうだ」


 ライブで主要都市に行くしね。なんとか時間を作って、そこで遊んだら良いだろう。俺、ユニバーサルなスタジオでジャパンしたい。


 曽川君とか新田と卒業旅行で行ったけど、その時はハリーポッタ◯がまだだったんだよね。あの魔法学校の雰囲気を堪能しに行きたいぜ。


 「後は聖地巡礼だな。東京に住んでるのに歌舞伎町に行った事がないんだよ」


 コスプレもした如くシリーズ。回帰前から好きだったし、回帰してからも全ナンバリングプレイしている。


 歌舞伎町とか大阪の道頓堀、他にも沖縄、福岡、名古屋、北海道、広島。結構忠実に再現されてるっぽくて、ずっと行きたいと思ってるんだけど、結局行った事があるのは大阪と沖縄だけだ。


 今回のライブで行く都市もあるし、ついでに聖地巡礼を楽しませてもらおう。


 「谷君達って歌舞伎町行った事がないんだ?」


 「ない。なんか脳が如くに侵食されてて、足を踏み入れるとすぐに喧嘩売られるんじゃないかってビクビクしてるんだ」


 「あんな強面の主人公にも喧嘩を売ってくるような場所よ。怖くて仕方ないわ」


 「ゲーム脳になり過ぎだよ…。それを言ったら他の都市も同じになっちゃうじゃん」


 「まあ、それはそうなんだけど…」


 なんかね? 歌舞伎町だけは特別っていうか…。行きたいけど、ずっと敬遠してた場所になる。


 でもそろそろ大人の階段を登るべきか…。一旦やる事が落ち着いたし、近々行ってみるのも良いかもしれんな。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る