第198話 将来


 「どう? 中々の出来じゃない?」


 「いいね。ラグも全然ないし、映像も綺麗だ。ただここのプログラムが…」


 「あー、なるほど。すぐに直すわ」


 誹謗中傷だなんだのは間宮さんに任せておいて、俺はいくつか手掛けてるプロジェクトでも、既に完成間近のものをチェックしていく。


 今はweb会議アプリ『繋がる君(仮)』の最終チェック中だ。技術者は中高の知り合いがそっち系の専門学校に行ってたのを引っ張ってきた。


 いや、引っ張って来たのは宇良さんなんだけど、あの子が声を掛けるとすぐに働いてた職場を辞めてすっ飛んできたんだ。


 一気に二十人ぐらい集まったからね…。俺達の影響力が凄いのか、宇良さんの人脈が凄いのか…。両方かな…。


 今の時代、エンジニア系の職が酷使される事は多々ある。俺的には日本の未来を考えると、酷使する意味が分からないんだけど、お偉いさん達は、いくらでも替えが効く人間としか思ってないらしい。


 そりゃ優秀な人は海外に流出しちゃうよねぇ。海外は差別はあるものの、それさえ乗り越えられれば実力次第でのし上がれる。


 いつまでも縦割りを重視してる日本が置いていかれるのも仕方ない。


 まあ、その辺は俺が色々会社を作って優秀な人間を拾っていけたらなぁと思ってます。手始めに『繋がる君(仮)』、それからこれも完成間近のモーションキャプチャー『ぬるぬる君(仮)』


 実績をいっぱい積んでいって、自然と優秀な人間が集まるようになっていければなぁと。そう思ってる次第であります。


 正直、俺と梓がスキルをとってやりたい放題やれば、かなり技術革新は起こると思う。


 今もプログラムやらコードの事はさらっと本を読んだだけなのに、すぐに問題点を発見する事が出来たし。


 でもなんでもかんでも、俺達がやったら未来がないと思うんですよ。正直、俺達が寿命を全うするまで面白おかしく過ごすだけなら、それでも良いんだけど。


 俺達に40歳までの大体の未来の知識があって、どんどん衰退して破滅していく日本の現状を知ってるとどうもね…。


 なんだかんだ日本って国が俺は好きだし、出来る事があるなら、少しでも良い風に変えていきたい。


 配信者風情がどこまで出来るか分からないけどね。


 「コロナどうすっか…」


 俺はエンジニアの人達とバイバイして、部屋を出て独り言を呟く。因みにここは以前買い取った日本橋のビルだ。そこの1フロアを開発研究フロアとして使っている。


 別のフロアはまだ色々改装中だ。Vtuber用のスタジオとかも作りたいしね。


 それはさておき、コロナだ。


 正直、関わる気はなかった。これに対処するなら、俺が今持ってるコネでも足りないし、想像を絶する程忙しくなるだろう。


 でもこれを未然に防ぐ事は無理でも、その後に良い感じに対処出来れば。経済的打撃を少しは抑える事が出来るんじゃなかろうか。


 「誰かに製薬関係と医療関係の知り合いを紹介してもらって、今のうちに関係を作っておくべきか」


 それか、いつものように困窮してる潰れそうな所を買収するか。でも流石にコロナに対応しようと思ったら、大企業の協力は必要不可欠だよなぁ。


 万が一特効薬なんて作れても生産体制がクソなら意味ないし。


 「梓に相談しよう」

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