第135話 サブちゃん
アパレルの話はかなりとんとんと進んでいった。おっちゃん知り合いにデザイン案を持っていくと、その人は結構乗り気になったらしい。
で、色々あった末に会う事になった。
もちろんルトゥールって事は言ってないが、仕事を頼む事になるかもしれない以上、いつかは会わないといけなかったしね。
「んまあ! まあまあ! こんな美男美女がこの世に本当にいるのねん!」
「ど、どうも」
「は、初めまして」
俺と梓の目の前にいる1人の男性。
身長は190cmぐらいで筋骨隆々のおねえ口調。中々にキャラが濃い。俺達がちょっとおっかなびっくりになっても仕方ないと思うんだ。
おっちゃんもどんなツテでこんな強烈な人と知り合ったんだ。そういう人が苦手と思ってなかったけど、実際に会ってみると少しびっくりである。
「アタシの名前は源田三郎よん。サブちゃんって呼んでねん」
「谷圭太です。よろしくお願いしますサブちゃん」
「中村梓です。私もよろしくお願いします」
サブちゃんと自己紹介も終わり、早速お仕事の話。
「二人のデザイン案は見せてもらったわん。これを若い二人が考えたなんて信じられないくらいよん。少なくとも私は一緒に仕事したいと思ったわねん」
「ありがとうございます。今日もいくつか考えてきたのもあるんですけど、見てもらえますか?」
「もちのろんよん」
まあ、俺達はスキルの力に頼りまくってるから。男性向けのデザインは俺が、女性向けのデザインは梓がやっている。
「このデザインだけでも問題なさそうねん。二人がモデルをやってくれたら、もっと売れると思うんだけど…」
「すみません。大学を卒業するまでは、あんまりそういう活動したくなくて」
「仕方ないわねん。その辺の話はたっちゃんにも聞いてるわん」
たっちゃん? ああ、おっちゃんか。龍雄って名前だもんね。随分仲がよろしいようで。一体どんな繋がりなのやら。
「まあ、今も盗撮されまくってるんで、勝手に宣伝になるかなと思ってるんですが」
「顔が良いっても良い事ばっかりじゃないわねん」
まあね。覚悟してた事とはいえ、ここまでなるとは思ってなかったってのが正直なところ。その分恩恵も預かってるから文句は言えないが。
その後も色々と話をした。
実際アパレル会社を設立するって言っても雇うのはサブちゃんだけじゃないし、他にも色々と人を雇う必要がある。その辺はサブちゃんのツテでなんとかなる部分もあるけど、俺達も動かないといけない。
幸い中学高校の友達でそっち系に興味がある友達は結構いる。曽川君みたいに滅茶苦茶仲良くしてた訳じゃないけど、とりあえず声をかけてみるのはありだろう。
なんか結構大掛かりな仕事になりそうだけど、俺達は基本的にデザインを出して丸投げする予定だし、最初は忙しくなるかもだが、軌道に乗ればその辺も落ち着くだろう。
「やりたい事がどんどん増えていくな」
「そうね。大学生活中にここまで手を広げると思ってなかったけど」
それな。まあ、今回も思い付きで行動したからこうなってるんだけど。でもせっかくそれをやれる力があるならどんどんチャレンジしていきたいよね。
ステータスボードに限界はないのだ。多分だけど。まだまだいっぱいスキルはあるし。
俺達は将来どうなってるかな。分からないけど、楽しみなのは間違いないね。
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