第134話 ちょっとした夢


 アパレルの事はとりあえずおっちゃんの知り合いの返事待ちって事で、俺達は学生らしう大学へ。


 今日は一コマだけだから余裕だぜーなんて思いながら、ルンルンで向かってたんだけど、まさかの休講。


 「AKB4◯の握手会って…。そんな理由で休講するなよ…」


 「ファンからしたら大事な用事なんでしょ」


 堂々と教授握手会の為休講って書いてあるんだよ。これが許されてるのが凄い。ここ、東大なんだけど。


 「どうしようか。せっかく外に出たし、どっか寄っていく?」


 「そうね…。あ、でも今日は頼んでたモノが家に届く日よ? 圭太も楽しみにしてたんじゃなかったかしら?」


 「そうだった!」


 どっか行くかーって思いながら、携帯でなんか良さげな店を探してると、ふと梓が思い出したように言う。


 そういえばそうだった。ちょっとでっかい商品を頼んでたのを忘れてたぜ。楽しみにしてたのに忘れるとは…。休講の理由が衝撃だったせいだなこれは、うん。


 って事で梓と急いで家に帰る。

 届くまでに時間はあるけど、せっかく時間が出来たんだし、課題をパパッと済ませて注文した商品が届くのを今か今かと待つ。


 そしてピンポンが鳴った瞬間玄関にダッシュ。用意していた専用の部屋に業者さんを案内する。


 運んでくれた人はまず家の広さに驚き、わざわざ専用の部屋がある事に驚き、思い出したように俺と梓の顔を見て驚く。なんか滅茶苦茶反応が面白い業者のおじさんでした。


 それはさておき。


 業者さんが帰った後に梓とウキウキで組み立てる。まあ、ほとんど出来てるんだけど。途中母親ーズもなんだなんだと見に来てみんなで作業をしてあっさりと完成。


 「何気にちょっとした夢が叶った」


 「普通に高い買い物で場所をとるものね」


 完成したのをみてしみじみと呟く。

 これが家に欲しいって人は多いと思う。


 「早速スイッチオン」


 ガラガラと音が鳴る。

 あー懐かしい音。回帰前は良く聞いてたなぁ。


 まあ、勿体ぶるのもあれだから、買ったものはなんなのかって言うと、全自動麻雀卓だ。サークルでやってるのを見て本当に欲しかったんだよね。


 でも何故か麻雀をやってると煙草を吸いたくなる。短時間だけならまだしも、学生らしく長時間やってると、もう必須アイテムなのだ。


 俺はまだ19歳だから外で堂々と吸えない。誰かに見られたら将来軽くスキャンダルになるしね。でもサークルの先輩達を見てたら麻雀がしたくてたまらなくなる。家でアプリをしたりしてなんとか誤魔化してたけど、やっぱり実際に牌を触りたい。


 って事で買っちゃいました。家でなら堂々と煙草を吸いながらやれるからね。しっかり麻雀用の部屋を用意して、空気清浄機やらもバッチリ。椅子もお高いのを買ったし、理想の設備と言っても過言ではない。


 ちょっとした男の夢を叶えちゃったよ。

 お金とスペースがあるなら欲しくなっちゃうんじゃないかなって思います。


 「………相手いなくね?」


 「私しかいないわね」


 とりあえずテンションが上がって何回も牌が上がってくるのを楽しんでると、ふと麻雀が出来る相手がいない事に気付いた。


 先走って麻雀卓を買ったけども。梓しか麻雀を知ってる相手がいないのだ。


 「母さん梓ママ。麻雀のルールを覚えてよ」


 「難しいんでしょう? あんたがゲームをやってるのを見た事あるけどちんぷんかんぷんだったもの。覚えれる気がしないわ」


 せっかくだから頑張ってみるけど。そう言いながらルールのアプリみたいなのを取得する母さん。覚えてくれるなら俺も教えるけど、すぐには出来ないよねぇ。


 「俺達の事をフルオープンで知ってるのはおっちゃんだけなんだよな。三麻なら出来るか」


 「あの人も忙しいからそう頻繁に呼ばないわよ」


 宇良さんと曽川君ですら、煙草を吸ってるのを隠してるからなぁ。旅行の時とかも我慢してたし。良匂のスキルのお陰で匂いとかでもバレないんだよね。


 我慢出来るなら禁煙しろよって話なんだけどな。麻雀の時は無理だね。ほんと、無性に吸いたくなる。不思議。


 とりあえずおっちゃんに都合が良い日がないか聞いてみよう。なかったら母さん達がルールを覚えるまで我慢だな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 冒頭の休講の理由。

 実際友達から聞いたんですよね。

 大学の教授ってそんな理由で授業を休めるのってびっくりしました。


 流石に東大ではこういうのないですよね?

 まあ、物語だしいっかって普通に書いちゃいましたがw


 

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