第130話 将棋配信


 「夏も終わって皆さんどうお過ごしでしょうか。Kです」


 「Aよ」


コメント

・待ってました!

・今日は何をするんだ?

・週一ペースの生配信助かる


 はい。って事で今日もやっていきます、生配信。


 大体週に一回ぐらい特にお題も決めないでダラダラやってるだけだけど、結構視聴者がいるんだよね。


 やっぱり顔出ししないと出来ることが限られてるなーと思う今日この頃。


 「クーラーをつけるかつけないかの瀬戸際の感じが好きじゃないんだよな」


 「そうね。結局つけるんだけど」


 絶妙なんだよな。クーラーを付けたら肌寒いんだけど、無しなら生温い感じというか。

 どっちかにはっきりして欲しい。


コメント

・分かる

・ほんと微妙な気温だよな

・クーラーの温度を調整したら良くね?

・俺はクーラーガンガンにして布団を被って寝るのが好き


 「あーその気持ちは分かるかも。クーラーをガンガンにして布団被ってると、なんか滅茶苦茶贅沢してる気持ちになるよな」


 そんな事を言いながらアプリを起動して、配信画面にも自分の画面を映す。

 今日やるのは将棋である。そろそろ俺達も慣れてきたから、部屋を作って視聴者さんと一緒にやってみようかと思いまして。


 「はい、対戦相手ぼしゅー」


コメント

・なんの説明もなく将棋が始まったぞ

・唐突すぎるwww

・そういえば将棋を始めたって言ってたな

・4段ってまあまあやり込んでね?


 「最近やっと4段になったんだよ。時間を見つけてちょこちょこやった甲斐があった」


 スキルを取らなくてもここまで成長出来ました。学力100が大きすぎる。一回見た棋譜は記憶出来るのは大きいね。


 でも頭の良さと将棋の強さは別物らしい。

 じゃないとあっという間に最強になってないとおかしいんだ。数学の問題とかはささっと解けるのに、将棋は未だに悩むからね。


コメント

・うわぁ

・脳筋だぁ

・まあ、破壊力はある戦法だけども


 「棒銀は全てを解決するんだぜ」


 「私とは相容れないわね」


 「Aの戦法も脳筋でしょうよ」


 視聴者さんと対戦しながらも雑談。

 普通はもっと真剣に考えてやるんだろうけどね。あくまでも遊びだし。楽しみながらやらせてもらいますよ。


 梓は今はやらずに見てて、自分は脳筋じゃないみたいな言い方してるけど、右四間飛車も充分脳筋戦法である。


 「勝った」


コメント

・つよいな

・ほんとに始めたばっかりなの?

・いや、まだまだアラは目立つぞ

・喋りながらでこれだもんなぁ


 視聴者さんはよいしょしてくれるけど、俺の強さはあくまでも素人の中で中の上って感じなんだよね。プロ棋士の対局とか動画で見るけど、雲泥の差だもん。


コメント

・二人は将棋の動画とか見るの?

・上がってる動画だけでもかなり勉強になるぞ

・羽◯さんとかな


 「結構見てるわよね」


 「まあ、そこまでガチってる訳じゃないけどな」


 ここで藤井聡◯っていうバケモンが数年後に出てくるって言ったら、どうなるのかな。

 流石に言わない方が良いかな? 俺が言ったせいで、何か変なバタフライエフェクトとか起こっても困るというか…。


 あの人はマジもんの天才だからね。万が一にも出て来なかったりしたら、将棋界の大きな損失でしょうよ。


 俺達みたいなパチモンとは訳が違うからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る