閑話 卒業旅行1
「大阪とうちゃーく!」
卒業式が無事に終わって卒業旅行。
俺と梓、曽川君と新田で大阪にやってきた。二泊三日、楽しみ尽くすぜ。
初日はひたすら食べる。二日目はユニバーサルな場所でスタジオをジャパンだ。
三日目はお土産探しをしつつ、大阪観光を楽しむ。
「僕、大阪は初めてだよー!」
「俺も俺も! 関西弁が聞きたい!」
曽川君と新田は初の大阪らしい。関西弁は別に大阪じゃなくても聞けると思うが。
テレビをつければ誰かしら芸人が関西弁で喋ってるだろう。
「俺達も初めてだから楽しみだ」
「そうね」
二人はどうなのって顔をされたので、しっかり返しておく。回帰前は来た事あるけど。
なんなら年に2.3回は来てた。ここのテーマパークが大好きなので。
「よし! 早速道頓堀に向かうか!!」
食べ歩きするならあそこしかあるまいて。
ホテルのチェックインはまだだから、駅のロッカーに荷物を突っ込んでいざ。
「人人人。人だらけ」
「旅行シーズンってのもあるのかな?」
「東京も負けてないけどな!!」
道頓堀到着。とにかく人が多い。そしてそこかしこから聞こえてくる関西弁。
普通に喋ってるのが、恫喝してるように聞こえる。関西弁って怖いよね。
あと何故か新田が東京で対抗しようとしてるけど、俺達は千葉出身だぞ。
「たこ焼きの屋台がいっぱいあるよ!!」
「どこの店が良いんだ?」
曽川君と新田が大はしゃぎだ。彩綾さんがこれを見たら倒れるんじゃなかろうか。
連絡先を知ってたら写真を送り付けてやりたいぐらいだ。
「外がカリッと。中はふわとろ。たまらんな」
「大阪に来たらまずはこれよね」
たこ焼きパーティとかしたいな。パリピっぽい。高校生活中にしておけば良かったぜ。
「はふっはふっ。おいしー!!」
「これが本場のたこ焼きか…」
たこ焼きって店によって、本当に味が違うんだよね。俺も食べ比べをするまでは全部一緒じゃんって思ってたけど。
その中でもイチ押しは『十八番』のたこ焼き。天かすが大量に乗っててサクサクした食感を楽しめる。ナンバに来たら是非行くべきだとお勧めするぜ。
たこ焼きを食べた後は『551』本店へ。
大阪に来たらここも外せないよね。目の前で豚まんも包んでるのとか見れるぞ。
「これが道頓堀川かー」
「野球ファンがダイブするところだよね!」
その前にまじまじと道頓堀川を見つめる、新田と曽川君。うん、よく見ると普通に汚いよね。ここにダイブするって…。
日本一過激な野球ファンが揃うだけありますね…。残念ながら後10年ぐらいはダイブする機会はないけども。
「美味い。甘めの皮に具の塩味がいい塩梅なんだよな」
「へぇー! 僕、豚まん初めて食べるよ!」
そして『551』の本店に到着。
曽川君は豚まん童貞だったらしい。コンビニとかで食べないのかな? コンビニより美味しいってはっきり言えるけど。
「結構ボリュームがあるのよね」
「そうだな。この調子でぱくぱく行くと、すぐに食べれなくなるぞ」
晩御飯は奮発してカニ道楽なんだ。
しっかりお腹を空けておかないと。
「回帰前に無かったお店とかも結構あるなぁ」
「韓国の食べ物ブームがまだだからかしら?」
「チラホラと見かけるけどな」
曽川君と新田が前を歩いてるので、梓と二人にしか分からない話をする。
あの店美味しかったから行きたいなと思ったらまだオープンしてなかったりね。
何かきっかけか分からないけど、韓国料理系が一気に流行った時に、道頓堀も結構様変わりしたからなぁ。
「あ、あの芸能人の方ですか!?」
「すみません。一般人なんです」
歩いてると結構声を掛けられる。旅行って事で二人してバッチリきめてるからね。
そりゃそうよって話だ。容姿100、カリスマレベル5、良匂レベル5を舐めてもらっちゃ困る。
これが芸能人ってやつかと二人で承認欲求を満たしてるんだけど、結構面倒も多い。
ナンパ逆ナンも結構ある。大阪は肉食系が多いのかね。
「芸能人は大変だな。そりゃマスコミが嫌いになるはずだ」
「こんな風に毎日追いかけられてるんでしょうね」
俺達が顔出ししてたらもっと酷い事になってたんだろうな。
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