第78話 模試


 「ああん?」


 「ちょっと予想外ね」


 8月に二日連続で行われた東大入試実戦模試の結果が返ってきた。

 俺は国語で一つ問題を落としてるし、梓も英語で一つ問題を落としてる。


 「まぁ、順位はほとんど一位なのは良いとしてだよ」


 納得がいかぬ。

 学力100さんが間違うだと。

 それとも過信し過ぎた俺達の勉強不足か?


 「配点も100点満点にして欲しいわよね」


 「それな」


 やれ、120点満点だの、80点満点だの、60点満点だの。分かりにくいったらありゃしねぇ。


 「8月後半の模試ではリベンジしないとな」


 「そうね。参考書とかもいくつか買って帰ろうかしら」


 全ての例題を記憶してやろうか。

 まさかここで躓くとは思ってなかったぜ。

 いや、立派なA判定なんだけどね。


 「ふっ。俺達は満点に慣れ過ぎた」


 「強キャラみたいね。肝心な時に役に立たないタイプの」


 せやろ。

 でもしばらくテスト系は満点しか取ってこなかったからなぁ。

 もう満点以外で満足出来ない体になってるんよ。

 とんだわがままボディになりやがったぜ。




 「いやいや、充分すげぇだろ。俺からしたら次元の違う話じゃねぇか」


 「これは俺達のプライドの問題なのだ」


 おっちゃんと喫茶店にて。

 受験生なのに会って大丈夫なのかと言われたから、今回の模試の結果を見せた。

 全科目満点を取れなかったのは残念だが、それはそれ。やっぱり高得点を取ったら自慢してチヤホヤされたいのです。


 案の定おっちゃんはすげぇとよいしょしてくれた。俺と梓は満足してないのですという表情を崩さず、内心はチヤホヤされて承認欲求を満たしている。めんどくさい性格だな。すみません。


 「それで? アプリの調子は?」


 「わんこの方はもうすぐベータテストだってのは知ってるな? モンスターバウンドの方も順調だ。坊主が配信で募集してくれたお陰で有望な絵師とも契約が結べた。技術屋も増えてきてるしな」


 「それはなによりだ」


 にゃんこはわんこになった。

 おっちゃんは犬派らしい。俺と梓は二刀流だ。

 両方愛します。家を建てたら飼うのも良いなぁ。

 ペットって、言い方悪いけど簡単に数字が取れるからね。回帰前でもひたすら猫を映してるだけの動画で100万登録者とかザラにいたし。


 俺達は幸いにも既にそれなりの数字があるから、必要ないが、それはそれ。

 可愛いは正義なのである。動画投稿関係無しに飼いたい。今はボロアパートだから厳しいが、一軒家になれば話は別だ。


 「『ギルドウォー』もパズド○に負けず劣らず人気だよね」


 「だな。ダウンロード数もどんどん伸びてきてる。これはスマホが普及してきたからだと思うが」


 この辺ぐらいから爆発的に増え始めるんだよね。

 スマホとかiPhon○が。俺は回帰前はGalax○からのスタートだった。

 結局iPhon○の方が使いやすいってなって、二年経ったら変えたんだが。


 「でもパズドラも面白いよなぁ」


 「わんことモンスターバウンドもそう思ってもらえるように頑張りたいね」


 まぁ、モンスターバウンドの方は間違いなくヒットするが。それは回帰前に証明されている。

 なんとかインフレしないように上手に調整したいよね。そこは俺の仕事じゃないが。アドバイスは出来るだろう。


 「お、環境キャラが出た」


 「え、いいな」


 おっちゃんが不意にガチャを回したら、今猛威を奮ってるキャラが出たらしい。

 俺達も運70が作用してるのか、それなりに良いキャラは出てるが、やりたい放題って訳じゃない。

 課金もしてないしね。無課金ユーザーでもやれるってとこを見せてやりたい。

 運に課金してるんだけどね。そこらの課金プレイヤーよりせこいか。すみません。

 

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