第3話 恋人契約
図書室は静まり返っていた。
今は誰もいないみたい
本当なら昨日ここにいたんだな
そんな事を考えてたらドアが開いた
菊池さんがオドオドしながらはいってきた。
やっぱり小動物みたいでかわいい。
「なに?私に話って」
「僕は昨日ここで彼女に告白するつもりでした」
「わあ、そうなんだ。え、昨日ってまさか」
「はい、いろんなことが重なって約束をすっぽかしてしまいました」
僕は罪悪感で押しつぶされそうだった。
それくらい彼女は顔面蒼白だった。
「それって、ひょっとしてあたしが怪我したから?」
「ぼくが図書室に着いたら既に閉まってました。彼女はどこにもいませんでした」
「ご、ごめんね!」
・・・ってできるかああ!無理!
僕は泣き出した彼女の足元にジャンピンぐ土下座をした。
そしてひたすら謝った。
「違います!遅刻が原因ではないです!僕が振られたのは僕が原因です!すみませんこんなこと言って」
僕らが二人して泣いていたら、本棚の後ろから姉が現れた。
「あーあ、やっぱり航大には無理だったか」
「琴葉ちゃん!」
「あんたがこの子に気があるようだったから、無理やりくっつけようとしたんだけどね」そう言ってぎこちなく笑う。
「まさか二人して泣かれるとは思わなかったわ」
彼女はごめんと言って頭を下げた。
「え、なんで好きって知ってるの!」
・・・本当のことなんですね。
「でなきゃ知り合ったばかりの男子に膝枕やんないでしょ」
そう言ったら、顔を真赤にして俯いた。
「ということなんだけど。どうする?」
どうって言われても
僕はこの小さな先輩の事が好きなんだろうか
まだ良く判らない
でも人に好意を持たれる事は単純に嬉しかった。
「週末に予約したランチ」びっく
「行くはずだった映画のチケット」あわあわ
「既に買ってあるクリスマスプレゼント」
「えー早すぎない」
・・・こほん
「彼女の為に準備してきた予約の数々」ひゃー
「それじゃ全部責任とって、僕と付き合ってもらえますか」
「・・・あたし本物の彼女じゃないんだよ?いいの?」
彼女の事はまだ忘れることは出来ない。
「もちろん断っても大丈夫です。恨みもしません。もし先輩に好きな人が出来たらすぐ教えてください。速攻で別れますから」
「・・・もし私に好きな人が出来なかったら?」
「出来なかったら、その時は自動延長でお願いします」
「うん、判った!」
彼女は花が咲くように微笑んだ。
僕はやっぱりいけないことをしている気がした。
「そんな顔しないでも大丈夫よ。あたし嫌いになったら、すぐ振るから」
「それもなんか悲しい」
「贅沢物が。あたしの親友をゲットできたんだよ」
はい、大切にします。
「じゃあ、まずは3人でカラオケね」
「最初から小姑つき!」
「そう簡単に二人っきりにはさせないよ」
「よろしくお願いします、先輩!」
「はい!」
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