第3話つづら折りあり

サイドブレーキを解除し、恐怖感しかない洋一は何とか車を前進させて、途中路肩に寄り後ろのタクシー、普通車を先に譲った。

これで、山道でのプレッシャーはなくなる。

走り始めると、ジグザグになった矢印表示が現れた。

「つづら折りか……」

洋一はぼやくと、車は左右に曲がる山道を走った。

17時40分。

間もなくだ!

つづら折りの後は、ひたすら登道。

いずみが歌い出した。

「あの娘〜どこにいるのやら〜♪」

「……」

「アアア〜諦めた……♪」


ブッ!


「ゴメン。歌って歌って」


洋一は窓を半分開いた。


「……もいちど〜♪」


ぶりっ!


「もう、洋一!」

洋一は運転が一段落して気が緩んだ。そして、肛門のバルブもゆるんだ。

ようやく、『大塩民宿』にたどり着いたのは17時55分だった。ヘヤピンカーブだらけで洋一は疲れ切っていた。

眠い。

駐車場に車を停めると。ギアをRに入れて下りた。

洋一といずみは、男湯、女湯に分かれて温泉に入った。

豪華な料理が運ばれてきた。

2人満足して、ダブルベットの上に洋一はダイブした。

余程、神経を使ったのであろう。

直ぐにイビキをかき始めた。いずみは、そんな洋一の寝顔を見ながら自身も眠ってしまった。

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