情報交換②
昼休み。
いつも通り、中庭でさくっと昼食を終えた俺は虎太郎に朝の話の続きを促した。
「んで、んで・・・・・・青山さんとはどんな関係なのよ?」
俺だって健全な高校生だ。親友の恋路には興味がある。
「どんな関係って・・・・・・。蒼空、お前なぁ・・・・・・変な勘違いしてるだろ?」
「ほぉ?」
「俺との関係ね・・・・・・。まぁ、強いて言えば未来の同僚か?」
「未来の・・・・・・同僚? 嫁じゃなくて?」
「ったく、お前は・・・・・・。そういう、蒼空こそ三浦さんといい感じに見えるのは気のせいか?」
「三浦さんと・・・・・・俺が・・・・・・? いやいやいやいや、あり得ないだろ。どう考えても、俺はクラスメイトその1だろ」
「そうか?」
「どう考えても、そうだろ」
「んー、でもホラ! 入学式のあのときのこととか?」
「入学式? あぁ・・・・・・アレも活躍したのは虎太郎じゃねーか!」
入学式のとき、先輩にナンパのような形で絡まれていた三浦さんを助けようとしたが・・・・・・生粋のインドア派の俺に何も出来るはずはなく、最終的には後から合流した虎太郎が先輩を追い払ってくれた。
「んー、でも毎日――」
「はい! 終了! 本題に戻るぞ」
「本題? あぁ、青山のことか。一応言っておくが、今から話すことはトップシークレットな」
「了解。ってか、そんなことを話せる相手は・・・・・・悲しいけど、虎太郎くらいしかいねーよ」
「ハハッ。本当に悲しいな。っと、話が逸れるな。蒼空、アマコン荒らしの『閃光』って知ってるか?」
虎太郎の問いかけに、俺は首を横に振る。
「ったく、もう少しゲーム業界に興味を持てよ。んっと、プロ参加禁止のアマチュア専用の大会って結構あるんだよ」
「へぇ。俺が無理矢理参加させられたやつとか?」
「いや、蒼空が参加したのはプロアマ問わずの大会だな。ってか、プロ禁止なら俺は参加出来ねーだろ」
「一理あるな」
「とりあえず、その色々あるアマチュア専用の大会に片っ端から出場して、軒並み優勝したプレイヤーがいるんだよ」
「それが、アマコン荒らしの『閃光』?」
「そそ。別名――
「は?」
「うちのチームが『閃光』のスカウトに乗り出して、情報を集めている内に『閃光』の正体が俺と同じ学校の同級生と気付いたのよ」
うちのチームとは虎太郎の所属するプロチームのことだろう。
つまり、青山さんは顔良し、頭良し、運動良し・・・・・・更にはゲームの腕前がプロ級ってか。ハイスペック過ぎるだろ。
「凄い偶然だな」
「だよな。んで、スカウト部から青山と仲良くなって口説き落としてくれと言われるって訳よ」
「ハニートラップ的な?」
「そこまで下世話じゃねーよ。仲良くなってうちをPRしろ、くらいだな」
「なるほどね」
「そうだ! 確か、青山って三浦さんと仲良いよな?」
「どうだろ? 今日もわざわざ三浦さんの席まで来ていたから・・・・・・仲は良いんじゃね?」
「だよな! 蒼空、頼む! 三浦さんを通じて――」
「ストップ! 何を言いたいかわかったが、大前提でそこまで俺は三浦さんと親しくない。アーユーアンダースタンド?」
「いや、蒼空が頼めば・・・・・・ワンチャン! 頼むよ。成功すれば、ボーナス貰えるんだよ」
「知らんがな。まぁ、何かのきっかけでそういう話題になったら・・・・・・聞いてやるよ」
「絶対だぞ! 約束だからな!」
そんなきっかけは万が一もないけどな。
頼み込む虎太郎に俺は冷ややかな視線を向け、苦笑した。
「そういえば、話は変わるけど・・・・・・ダンジョンにはもう入ったのか?」
悲しいかな、俺と虎太郎には色恋沙汰よりゲームの話題のほうがよく似合う。
「お! ってことは、蒼空もついにレベルが10になったのか」
「ようやくな」
「俺はレベル12になったけどな」
「は? マジ? 早くね?」
ようやく追い付いたと思った悪友の背中が、あっさりと遠ざかる。
「ダンジョンだと、適正レベルの敵で稼げるからな」
適正レベル未満――危険度青の敵から得られる経験値は雀の涙だった。お陰で、周囲に適正レベルの敵が存在しないレベル7以降のレベル上げには相当苦労した。
「ってことは、ダンジョンにはもう入ったのか」
「まぁな」
「野良パーティーで挑んだのか?」
虎太郎はソロ主体でプレイしていると、聞いていた。
「いや、ソロだな」
「ほぉ。問題ないのか?」
「ソロのほうが気軽だし、『闘士』になったら劇的に強くなったからな」
「劇的……そこまでなのか?」
「闘士というか、《格闘の心得》の効果が半端ないな」
「ほぉ」
「STRのみならず、DEXとAIGの値がそのまま攻撃力だぞ。攻撃力は倍以上だ」
「攻撃力が倍以上は凄いな」
「まぁな。んで、蒼空は結局戦士にしたのか?」
「面白味には欠けるが、
俺は虎太郎の問いかけに首を縦に振る。
「蒼空の
「今のところは……攻撃力が初期武器と比べて高いことと、クラス問わず刀が得意武器になることだけかな」
「んー、パッとしないな」
「本人を目の前にして……そこまでハッキリ言うか?」
「まぁ、
人の不幸を
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