お金の稼ぎ方
メティ、お金の稼ぎ方を教えてくれ。
(お金を得る方法は様々ありますが、マスターに推奨する方法は、モンスターを討伐して獲得した素材を守護者協会に納品、或いは求めている者に売却することとなります)
素材の納品か売却か。
端末を操作して、アイテム欄を確認すると……『ポムスラの粘膜』、『ポムスラの核』、『ゴブリンの腰蓑』、『破損したナイフ』が多数収められていた。
納品するより、売却したほうがお金にはなりそうだが……と悩んでいると、
「ミランちゃん、素材はいっぱいあるけど、どこで売ればいいの?」
同じ悩みに辿り着いたのか、カリンがミランに相談を持ちかけた。
「持っている素材の種類は?」
「『ポムスラの粘膜』、『ポムスラの核』、『ゴブリンの腰蓑』、『破損したナイフ』だよ。一番多いのは『ポムスラの粘膜』で、『破損したナイフ』が一番少ないかな」
「なるほど、なるほど。粘膜と核は錬金組合、腰蓑とナイフは鍛冶組合が協会に納品するより高く買い取ってくれるはずだよ」
「ふむふむ。ミランちゃん、ありがと!」
カリンは満面の笑みでミランに頭をペコリと下げた。
「ふふっ。普段はカリンに世話になりっぱなしだからね。なんか新鮮で楽しいよ」
「んー、そうかなぁ?」
楽しそうに笑うミランに対し、恥ずかしそうに照れるカリン。この二人はきっとリアルでも仲の良い友達なのだろう。
「あ、そうだ。協会に納品すると貢献度が増えるから、全部売るんじゃなくて、納品もしたほうがいいよ」
「え? そうなんだ」
そうなんだ。
奇しくも、カリンの声に俺の心の声が重なった。
で、貢献度ってなによ?
(貢献度が一定値に達すると、守護者としてのランクが昇格します)
ほぉ。ランクが昇格すると?
(ランクが昇格すると、より高難易度、高報酬の
なるほど。確か俺の今のランクはペーパーだったか?
(はい。マスターのランクはペーパーです。貢献度を高めることにより、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイヤ、ミスリル、オリハルコンへと昇格します)
ステータスに載っていたランクの『ペーパー』って……Paper――紙って意味だったのか……。
「えっと……えっと……結局どうすればいいの?」
五月雨式に情報を与えられたカリンは困惑しながら、ミランに助けを求める。
「んー、ポムスラの素材とゴブリンの素材は納品しても貰える貢献度は同じだから……売却価格で決めればいいと思うよ。一応、こういうこともあるかと相場は調べてあるから……はい、どーぞ! あ!? 『破損したナイフ』はうちが5Gで買い取るよー」
俺もミランが差し出した端末のメモ画面を覗き込んだ。
『守護者協会での買取価格
ポムスラの粘膜 1(2)
ポムスラの核 7(10)
ゴブリンの腰蓑 3(4)
破損したナイフ 3(4)
※()は各種組合に持ち込んだときの買取価格』
「一番高いのは『ポムスラの核』なんだね」
「核は、なんか薬の素材になるみたい。うちだと、『破損したナイフ』10個を『鉄くず』に加工して、『鉄くず』5個を『鉄鉱石』に加工出来るよ。ちなみに、鍛冶組合で『破損したナイフ』を購入すると6Gだね」
「なるほど! だから、ミランちゃんは5Gで買い取ってくれるんだ! でも、ミーちゃんに売るのなら別に4Gでもいいよ?」
「そういえば、カノン! うちとなんか約束しなかった?」
「――!? はわわわっ!? う、うん……ミ、ミランちゃんになら4Gでもいいよー」
――?
急に慌てふためいたカノンとミランを見て、俺は周囲を見渡したが……特に変わったことは何もなかった。
ん? 内輪ネタか? 疎外感が半端ないな……。
「えっと、とりあえず……ミランの情報を元にするなら、核は錬金組合に販売、ナイフはミランに売却、んで残った素材を納品するのがベストっぽいのか」
なんとも言えない空気を追い払うように、俺は自分のプランを声に出すと、
「うん! それがいいと思うよ!」
ミランは食い気味に俺のプランを肯定した。
「んじゃ、換金してきますか」
「はーい!」
「道案内するね!」
こうして、昨日稼いだ素材を換金。最終的に、俺の所持金は524Gとなった。
「……524Gか」
「うぅ……私なんて372Gでした……」
1400Gって意外に遠いのな……。
昨日のプレイ時間は5時間。昨日は戦闘漬けじゃなかったから……気合いを入れれば今日中に貯めれるか?
時給だけなら、ポムスラのほうが良さそうだけど……虎太郎と今以上にレベル差が生じるのは勘弁願いたい。となると――、
俺はチラッとカリンを横目で見る。
ソロなら余裕だけど……カリンが一緒だと、どうだろうか?
様子を見た感じ、カリンは今日も俺と一緒に行動する気のようだ。
ソロの最大のメリットは自分のペースでプレイ出来ることだ。休むことなく、飽くなく狩りを続けても問題はない。
虎太郎のように同じペースでプレイ出来るフレンドなら問題はないが、そうじゃないなら、相手のペースにある程度は、合わせる必要がある。
俺はどうすべきか頭を抱えるのであった。
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