今年最後の仕事が来た  十一日目 (十三の日)

 親愛なる我が従弟殿。


 オーリチの話が途中だったけれど、すまない、今日はウォータークレスから領事が大量に届いたので、目を通すので手一杯だった。

 彼の話はまた落ち着いたらにしよう。


 これが今年最後の領主としての仕事になるのではないかな。もう道が雪に閉ざされて、行き来も難儀だからね。

 送り返す私の決裁が、無事に届くと良いのだけれど。


 ウォータークレスは父上が亡くなり、私の代となって日が浅い。しかも私はケンプフェリアに留め置かれ、一度も領内に戻っていないと来ている。


 ただ、その割には混乱は比較的少ないようだ。

 領主が別の血統に変わることもなく、領土が他家に割譲されるでもなく、順当に私が継承したというのも安定に寄与しているらしい。


 となると、これは陛下の深慮の賜物なのだろうね。

 今あの地は扱いがとても難しい。対応を誤ればこの国の最大の火種となりかねないのだから。


 そんな気付きを得たところで、短いけれど今日は終わりにしよう。

 また明日も続きを見ないといけないのでね。

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