第25話 霧の夕方

彼にまた、ビルの屋上に誘われた

その日は霧のとても濃い日で

美咲とも、ひるくんとも約束の無かった私達は一緒に屋上へ向かった

田舎の駅前は畑や田んぼがあり

霧は姿を隠すほど濃かった

私はこの景色を一生忘れないような気がした。

屋上で話しをした。カーディガンの事など話していたすると、彼から

「ひるくんと別れて欲しい」と言われた

私は(ズルい)と思った、彼は美咲と別れない、だけど私は彼氏がいたらいけないなんてズルい

すると彼は

「美咲と別れる」と言いだした

私は何も言わなかった。

だけどなんだか私は確信した

彼は私が好きだ、、


何となくほっとした彼も何か葛藤しているのかもしれないと思ったからだ。


実はひるくんとは別れたばかりだった

ひるくんがあまりに大切にしてくれて

真面目で心苦しかった

それに、ひるくんから連絡が無かったので連絡してみると、ひるくんはスノボで怪我をして学校を休んでいた

知らなかった、よく考えると私は自分からひるくんに連絡する事が無かった

「なんで怪我した事教えてくれなかったの?」と聞いた

ひるくんは

「しおちゃんから連絡来るのを待った」と答えた、私はそれを聞いてひるくんを傷つけているんだと感じた、そして

ひるくんに別れを伝えた、ひるくんは

諦めたように納得してくれた。


彼と私は屋上からおりて霧の中を帰った。

彼が私を抱き寄せた

私はぎゅっと彼を抱きしめた

切なかった、多分お互い好きだ

だけどゲームのせいで素直になる事は出来ない、言えない。だから抱きしめる事しかできなかった。

私は後にも先にもこんなに濃い霧を見た事が無い。まるで2人を隠すように霧は濃かった。

多分結ばれない2人、このままな訳ない

きっと今だけなんだ、

今だけなら本当はもっと素直になりたい。


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