第12話 霧

俺とシオは霧の中を歩いた霧は濃くて

シオと少しでも離れるとシオの姿は見えなくなった。畑の中の住宅街、駅を出てすぐなのに、ほとんど何も見えない

俺はあとにも先にもこんな濃い霧は初めてだった。

シオがあまりに見えないので俺は

「見失うから手をつなごう」と言って

シオの冷たい手を握った。

「霧、凄いねこんなのはじめてほらすぐ私消えちゃう」と言って

イタズラに俺から離れた、シオの姿が見えなくなる度にこのまま本気でシオが消えてしまう気がして怖かった。


屋上へ上がると寒くて、シオはいつものようにマフラーを、口まで巻くと白い息が漏れた。

シオが急に

「ヨシキくんセーター着てないの?」と

「あ、え?うん」と急な話しに戸惑い答えると

「私、サイズ間違えて買ったニットがあるよ前ボタンで紺色のヨシキくん似合いそうだから明日持ってくるね」と

なんだか、愛人ゲームや、彼女がいる事や、彼氏が出来た事なんて何もなかったように、嬉しいそうにシオは話す。

俺は思わず

「ねえ、ひるくんと別れて」と言ってしまった

シオは少し悲しそうに

「なんで?」と聞いた

「嫌なんだシオがひるくんと付き合ってるの」というと

「ズルいな」とシオは言った

それから「ゲームだもんね」とシオが言ったので俺は思わず

「美咲とわかれる」と言ってしまった

元々、美咲とは別れたくてシオの事ばかり考えていたから


朧月をみながら、シオの反応をまったんだ。シオは何も言ってくれなかった

霧の中、駅へ少しの道のりを

手を繋ぎ歩いた。

シオは、何を考えてるんだろう

(ゲーム)

俺は初めから負けてる。

シオはどうなんだろう?

ゲームをしているのかな?

ひるくんが好きなのかな?

明日は普通になるのかな?

俺は立ち止まり、霧の中でシオを抱き寄せた。

シオは俺に強くしがみついた。

シオが俺と同じ気持ちだったら?

シオは辛く無いのかな?

1人教室で泣いているシオを思いだした。

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