二年後の話 昼休みにて

 ある日の昼休みのこと。 


 辺りに人の気配の全く無い家庭科室で、お弁当を広げる菜々美ななみとここね。


「菜々美ちゃん、あーん」


 ここねはお箸で摘まんだタコさんウインナーを菜々美の口元へ持っていく。


「あ、あーん」


 若干家庭科室の外を気にしながら、菜々美はここねのタコさんウインナーを神に感謝して口で迎える。


 まさに至福、神様ありがとう、ここね大好き。そんなことを考えながらタコさんウインナーを味わう。


「美味しい」

「えへへ、よかったあ」


 ここねの満面の笑みにお腹だけでなく、心も満たされた菜々美。お返しとして、ミートボールをここねの口の中に入れてあげる。


 ミートボールを食べた笑顔のここねは、とろけるような表情でミートボールを味わっている。


 ここねに食べさせてあげたくて、朝早く起きて自分で作ったお弁当だ。ここねの喜ぶ顔が見られたのだから、早起きして頑張ったかいがある。


「菜々美ちゃんのお弁当、いつも美味しいよ」


 最大最強の感想。菜々美は涙を流しながらきんぴらごぼうを噛み締めるのだった。

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