第17話


 「葬儀は、もう終わったの…?」


 「はぁ??」



 母さんは裏返った声で、何言ってんのと突っ込んできた。


 そんな難しいことを聞いたつもりはない。


 終わったか終わってないか


 それだけのことでしょ?


 なのに



 「葬儀って、誰の?」


 「誰?誰…って…」



 何言ってんだ?


 会話が全然噛み合わなかった。


 大輝の葬儀に決まってる。


 私も喪服のままだ。


 朝起きて、慌てて着替えたんだ。


 衣装ケースから引っ張り出して、それで…



 …………って、あれ………?




 ……なに



 ………………これ?




 喪服を着てたはずなのに、いつの間にか服が変わってる。



 「服」が。



 男子用のジャケットに、チェック柄のスクールパンツ。


 ズボンの外に出したシャツが、ジャケットの裾の下に見えた。



 あり得ない



 最初に現れた感情だった。


 見慣れない制服と、ガラスの向こうにいる「自分」の姿を見た、——“印象”は。





 

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