バッテリー

平木明日香

明日、空が晴れたら

第1話



 ねえ



 もし「明日」があるなら、何がしたい?



 そう尋ねることの残酷さを、この胸のうちに繋ぎ止めることもできない。



 今日、「雨」が降った。



 街の音をかき消すほどの大雨だった。



 “観測史上最大の豪雨”



 そんなワードがテレビに飛び交う中、キミからの電話が鳴ったんだ。



 喧嘩して、謝ることもできなかった私の元に。





 prrrrrrrr





 夜も8時を越えた時のことだった。



 着信画面にキミの名前。



 ひらがな表記で登録した、「だいき」の文字。




 ねえ、どうして出ることができなかったのかな?



 キミはいつも私に言ってたよね?



 「チャンスは一度きり」だって。



 夢を追いかけられるのは、「今」しかないって。



 向こう見ずで無鉄砲なキミの言葉に、いつも首を傾げてた。



 バカみたいに前向きなその姿が、どこか子供っぽくて。


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