第20話 花火大会

「そいやそいや」


末莉が踊りながら二人の元へやってくる。


「なにかの音頭?」

「ちがうって。もうすぐ秋な訳ですが」

「はやく本題に入りなさいよ。」

「花火見てないやってない!」

「そーいえば…そうだね」


「んー…家で打ち上げ花火したら怒られるかな」

「流石に怒られるんじゃないかしら。」

「心配ご無用!ドン!」


口でドンと言いつつ末莉が取り出したのは一枚のチラシだった。


「いちいち喧しいわね…あら、花火大会のお知らせ…ね。」

「あ、毎年近所の河原でやってるやつー」

「そうそう。これなら行きやすいと思ってさ!」

「良いんじゃない?」

「やきそば…りんご飴…」

「もう行く気満々だなこいつ」

「せっかくだし、じゃあ行きましょうか。」



後日。三人の家からそう遠くない河原にて。

「おっ!籠女!浴衣似合ってるぞ!」

「えへへ…ありがと」


ぐっ。

「無言で帯に手をかけるのはやめなさい。」

「ちぇっ」



「もぐもぐ」

「いつの間に買ったんだ…」

「あ、始まるわよ。」


ドドーン!ぱちぱち…!


「おー、近くで見るとやっぱ違うなー」

「意外と迫力あるわね。」

「うぅ…頭きーんってする…」

「それはアイスキャンディー食ってるせいだと思うぞ」


「籠女見てたら私も何か食いたくなってきたな」

「たこ焼き食べる?」

「君はここに食い倒れにきたのかね?」

「ま、まぁまぁ…楽しみ方は人それぞれよ…多分。」



そしてひと際大きな花火が上がり……


「これで終わりかな?」

「みたいね。」

「美味しかったぁ」

「楽しかったじゃないんかい」



「いやーそれなり満足。やっぱ夏と言えば花火だもんな」

「来年もまた来たいね!」

「そうね。」



また一つ思い出を作った三人の、夏の終わり。

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