第9話 誘拐…?

末莉は落としてしまったスマホを拾い上げ、


「す、すみません!こっちでも探してみます!」

「末莉ちゃん…ありがとう。無茶はしないでね」


再び外に飛び出そうとする末莉に、待ったをかけたのは末莉の父親だった。

「何処へ行く末莉。もう外は暗いぞ」

「友達が大変なんだ!!」

「そうか……。」


末莉の父親は眉間にしわを寄せた後、

「だが、それはお前だけで解決できるのか?」

「!…それは…わっかんないけど…でも、何もしないなんて出来ない!!」


「……。」

問答の末……。

「ならば…行ってやれ。それと…たまには大人の力にも頼れ。いいな?」

「…!!ありがと、親父!!」


…我ながら甘いなと思う末莉の父であった。



とりあえず映画館に向かって走る末莉。

「くそっ…」

「末莉!!」

映画館近くで葵と合流する末莉。

「はぁ、はぁ…葵…」

「どうしよう…私が映画になんか誘っちゃったから…」

「そんな事ないって!でも…」


「ここからどうしよう……。」

冷静になれないでいた二人だった。




一方、籠女は―何処かの真っ黒な車の中に居た。

「ううん……」

「お目覚めかな?」

「すやぁ」

「いや、寝てもらっては困るんだが」

「んぇ…?お兄ちゃん…じゃない…?」

「寝起き…悪いな。この子。」

「何やってんだお前は。とっとと情報を聞き出して人質に使うんだよっ」


「ここ…は…」

その瞬間、衣服を脱がされる籠女。

「きゃああ!?」

「お嬢ちゃんのお家はどこかな~?」

「ひっ…いやぁ…」



「ん…?」

その時、巡回中の警官の目に、止まる黒一色の車。明らかに怪しい。


「ちょっと失礼ー。職務質問良いですか」

「げっ、やべぇ」

「助けて……」

「!?中に女の子が居るのか!?おい!!」

「ちっ、逃げるぞ!!」


車から飛び出した男二人は止まっていた近くの倉庫街へ逃げ込んだ。


籠女は―

「ぐすっ…ここ、どこ…?末莉ちゃん、葵ちゃん…っ」

とりあえず警官は籠女に服を着せると、応援を呼んだ。



『籠女!!』

「末莉ちゃん、葵ちゃんっ」

3人抱き合ってしばらく安堵の余韻に浸った。


ショッピングモールから少し外れた所にある映画館。以前にも同じような事件があったらしい。そして今回も…という事だ。


ちなみに犯人二人は警官の機転ですぐに捕まったらしい。事件は無事解決した。

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