第7話 お菓子作り

とある日の下校中、唐突に末莉が言い出した。

「籠女の家ってさぁ、お菓子焼けるよね」

「う、うん。急にどうしたの?」

「お菓子作ろうよ!んで食べようよ!!」

「本当に急ね。まずは籠女のお母さんに許可をもらわないと」



「いいわよ~」

あっさり承諾。

「やったぁ!」

「でも、何作るの?クッキー?ケーキ?」

「作れんのか!?」

「一回爆発したことあるけど、できるよ~」

「それはできるっていうのかしら…」



「それではっ!籠女先生の元、パウンドケーキを作っていこうと思いまーす!」

「ぱちぱち~」

「自分で拍手してどうするのよ…大丈夫なの?さっき爆発とか何とか」

「そんな事、多分起きないからだいじょうぶ~」

「今、多分って言ったわよね?」



しゃかしゃか…


「わくわく」


練り練り…


「わくわく」

「落ち着きなさい」

「あだっ」

「そもそも、籠女しか何もしてないじゃない!籠女、何かお手伝いすることある?」

「もう出来るよ~」

「え、はやっ!」

「手際、いいのね…」


いざオーブンを起動しようとしたとき、後ろで見ていた曇った顔の籠女の母が

「あ、あとは焼くだけよね?お母さんがやっておくから大丈夫よ~」

「ホント?ありがとーお母さん」


との事なので、3人は籠女の部屋で遊びつつ完成を待った。

少し間があった気がするが、下から籠女の母の声。

「できたわよ~」

「よっしゃ!実食!」

「あっ、こらっ、廊下を走らないの!」

「いいにおい~~」


「んー?こんな味付けしたっけ…」

「美味けりゃいいだろ…うまぁい!」

「はしたないわよ…ん、美味しい」

「籠女はぱてしえの才能があるな!」

「えへへ…あれ?お母さん、そっちにあるケーキは?」

「後でお兄ちゃんに持って行ってあげなさい。…籠女が作ったっていえばきっと喜んで食べるわ」

「??わかった~。」



「今日も楽しかったな!」

「とか言って、籠女に任せっきりだったじゃない。悪いわね、籠女」

「ううん、またやろうねー」

「またなー!」



二人が帰った後…

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」

「おう、どうした籠女?」

「ケーキ焼いたんだけど…食べる?」

「!!妹が兄の為にケーキを…!?食べる!食べるぞ!!」


ぱくっ


「んぐっ」

「んぐっ?」

「な、何でもない…美味いぞ、籠女、また腕を上げたな…」

「えへへ、じゃあ、私いくねー」


…。

「へへ…燃え尽きたぜ…真っ白によ…」

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