第18話

 契約してから俺とセナクは10階層で連携の確認をとっていた。あいつも幼女姿のが戦いやすくなるらしいので見た目は女性の二人組PTになる。元は筋肉ムキムキのおっさんなのに幼女のが何故強いのだろうか。

 基本は槍の俺が前衛、弓のセナクが後衛。そしてライアは以前程ではないが援護してくれる。


 あぁ相棒だとセナクや水精霊が増えた事で混乱するので兎の火精霊をライア。セナクはイルカの水精霊をアルヴィンと名付けた。

 セナクは水魔法の練習も兼ねている。



 ーーーーーー


 午前中は自由時間とし各々過ごしている。そんなある日セナクから昼食に誘われた。ターニャちゃんも一緒に。

 セナクは又姪のアクアとの会話の中で俺の事を秘密の部分には触れずに話したらしい。誘拐事件の時、抱きしめて慰めてくれてたお姉ちゃんと一緒にいた俺の特徴を覚えており会いたくなったそうだ。


 昼食会でアクアはターニャちゃんにべったりで見ていて微笑ましい。今度は孤児院にも遊びに行くねと約束している。



 そう言えばあの事件で気になっていた事がある。セナクなら詳しく知っているだろう。


「あの時救出されたのって本当に6人だったのか?」


「えぇ。私も駆けつけ両親の元に帰す場も立ち会っています。街の子3人と孤児院の子3人でした。」


「俺の犬の能力は説明したろ?犬達が言うには7人の女の子の匂いがあったし、ターニャも7人と言っていたが。」


「あの犬達が言うなら間違い無さそうですね。実は他にも7人いたという子がいて混乱していたからと片付けていましたが。」


 スラムの子で自力で住処に戻ったのかもしれない。そう思う事にした。




 連携を深め21階層以降に潜るようになった。ここからは迷宮階層になりトラップと状態異常への対処を学ぶ事になる。しかしセナクが衛兵時代に訓練にきておりレンジャースキルでほぼ完璧に対処して問題なく進めることが出来ている。ライア、セナクと優秀な仲間がいて俺は誇らしいよ。


 ちなみに迷宮階層には小鬼ゴブリン粘体魔法生物ブロッブ吸血蝙蝠ヴァンパイアバット巨大芋虫ジャイアントワーム等が出てくる。蝙蝠は食べれるらしいが寄付する前に聞いておこう。

 攻略が進み俺のレベルは30になった事でスキルが新たに生えてきた。『スキル統合』というものだ。さっそく鑑定する。


 ★スキル統合:変身前と変身後の両方のスキルがどちらの姿でも使用可になる。魔法少女時は不可。



 袋が少女姿でも使えるのは凄く便利だ。ドロップ品がたまると動きにくいし仕舞うにも変身を繰り返す羽目になっていた。

 ダンジョン攻略に便利なアイテム探しも面白そうだなと感じた。



 ーーーーーー


 セナクの案内で野営道具の見直しをしにお店をまわっている。30階層以降は転移陣が10層起きになりチュートリアルは終了。攻略に日数がかかるようになる。俺達のPTは袋がある分、ダンジョンでも不便な生活をおくらなくてもすみそうだ。


 買い物も終わり帰路につこうとした時、遠くから倒壊音と砂埃が上がるのが見えた。セナクは元衛兵として気にしてそうなので野次馬をしにいく事にした。かつての部下達と再開し嬉しそうに話も弾んでいる。やがて戻ってくると工事現場の足場をとめていた金属部品が盗まれて倒壊したらしいと簡単な事情も聞いてきた。作業員はもう引き上げていて幸い怪我人は出なかったようだ。


 その事故から度々金属が盗まれる事件がバーレイで起きている。衛兵詰所の武器から各家庭では硬貨も盗まれている。捜索しているものの手掛かりはないらしい。盗まれるのも金属なら片っ端だ。ここまで来ると金銭目的ではなく金属不足による戦力低下を狙っているのではとそんな推測をする者も出てきた。


 そして我が愛槍の穂先もついに盗まれてしまった。今まで被害のあった場所は人の出入りもあり見られる心配や匂いが混ざっていそうと猟犬を使う事が出来なかったが俺の部屋なら問題ない。


 そして狙い通り犬達は犯人と思われる匂いを嗅ぎ分けることが出来た。それは誘拐事件で消えたはずの7人目の子どもの匂いだった。

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