第13話
おっさんは焦っていた。
ターニャちゃんのお礼の言葉に相棒がピクリと反応していた。頭の上にピンクの兎をのせてる人物は俺しかいない。その事から俺と少女の繋がりがバレるのではないかと。しかし衛兵の聞き取りでターニャちゃんは兎獣人の女の子に助けられたと伝えていた。なんか上手いこと勘違いしてくれて助かった。これはあれか?明らかに同一人物なのに周りの人間も敵も正体に気付かない、謎の現象。
その現象のおかげで身バレの心配はなくなった。なのに何故焦っているかというと射手ギャルの都築のせいだ。
あいつらのPTはスラムにほど近い安宿にいたらしく爆発音を聞きつけこちらの様子を見ていたらしい。射手の職能で視力が良くなったあいつは俺の姿をばっちり目撃していて、こともあろうか魔法少女だと騒ぎだした。
そのせいで救出したのは兎獣人の女性召喚師説だったのが魔法少女なるものだという風潮が出来上がってしまった。
魔法を使って人助けをするも見返りを求めない正体不明の女の子、よく分からないがそれがギャルの中での魔法少女らしい。
真実は知り合いが拐われて助けに行き、変身が解ける所を見られて変質者と思われないように慌てて逃げただけなのだが。
この世界のこれまでの
救出されたターニャ本人の言う兎獣人説が参考にされていないのはもう一つ理由がある。取調べの際、証言が衛兵達とで齟齬があったかららしい。
子どもは7人いたと言うターニャちゃん。
俺も犬達を信じるなら合ってるはずなのだが救出した子どもは6人だったと衛兵達は証言している。拐われて混乱していて数を間違えていた事にされ兎獣人説も信ぴょう性を疑われてしまった。
ーーーーーー
あれから大した事件もなくおっさん姿と少女姿で生活をおくれている。身バレしないか焦っていた時期が懐かしい。
街では女の子達が魔法少女ごっこをしているが気にしてはいけない。
少女姿になりギルドに顔を出すと学生PTに話しかけられた。
「ようやくチワワ捕まえれたよー。情報ありがとね!これで次の街にいけるよ」
「そうか。がんばれー。」
適当に返事をしダンジョンに入る。嫌いではないがあいつらのせいで噂が拡がったので関わらないようにしている。ドロップの杖から俺や孤児院に繋がると困るしな。
今日からは11階層へと進む。
ここからは山岳地帯の階層になる。出てくる魔物は空を飛ぶ昆虫や鳥類に変化している。遠距離攻撃の有用性と対処方法を学ぶ場らしい。今更ながらこのダンジョンとやらは人間にとって都合が良すぎないだろうか。怪我人や死者が出てはいるが。
まぁ自分は利用するだけだ、ダンジョンも相棒も。相棒はまだ火魔法覚えられないの?といった目で見てくるがまだ使えないふりをしておいた。このまま任せっきりにしたいな。音で索敵してるのか俺が気付く前に攻撃して倒してくれている。相棒無双階層だね!
散歩をするような気分でダンジョンを歩きお腹が空いたら帰還した。
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