第10話

 孤児院を離れ俺は倉庫にやって来た。清掃に来ているだけあって死角になる場所もわかっている。決意を込め呟く。


(換装っ)


 覚悟はしていたが再び変身演出がおこる。二回目は演出スキップ出来ませんか?出来ませんか、そうですか。


うわぁぁぁやめてくれぇ俺の身体で変なポーズをとらないでくれ!くるくる回るな!ウィンクをするんじゃない!


「狙った獲物は逃さないっ!ラヴリーシリウス見★参!」


 そうして羞恥心との戦いは決め台詞で締め括られた。すでに疲れたがこうしてはいられない。女児達をさがさなくては!

 魔法少女はスラムに向けて走り出した。



 ーーーーーー



 一方その頃、スラム街のなんの変哲もないボロ小屋。に偽装された場所の地下には何人かの少女達が囚われていた。

 私たちが連れてこられた時、少女達の「ひっ」と小さな悲鳴が聞こえてきた。

 地下は広くないっぽくて一緒の場所に閉じ込めらた。周りの子たちはどうやら乱暴をされたり食事を貰えないという事はないっぽいのかな?みんな私より小さなこたちばっかだから私がしっかりしないと!と、ターニャは気丈に振る舞う。


「お家帰りたい、パパぁママぁ」「院長先生…」

 街の子や一緒に捕まった友だちのすすり泣く声が聞こえてくる。皆を元気つけようと声をだす。

「大丈夫だよ。きっとみんな帰れるよ。」と背中を擦り慰める私の声も震えていた。



 ーーーーーー


 スラム街に着いた俺はさっそくスキルを使う。

「ライラプスの猟犬」


 体からMPが抜け落ち光る犬を形作る。4匹の犬を作ると体感半分のMPを消費していそうだ。MP枯渇というタイムリミットもあるが孤児たちのためにも急がねば…しかし。


(こいつら光過ぎじゃね?こんな目立つ姿で追跡してもばればれやんけ)


 俺の意志を組んだのか光が収まり黒や茶の犬にかわる。スキルで産まれた犬に個性がある事に驚きつつも孤児探索を開始する。相棒がいうに匂いでの追跡になるらしい。私物を借りてこればと思ったが『孤児についた俺の匂い』で追跡は可能だと犬達から伝わる。


 誘拐犯に悟られないようにこそこそと匂いを追っていく。誰かにこの恥ずかし格好を見られないためじゃないぞ。


 そうこうしているとあるボロ小屋を前に警戒した様子を見せる犬たち。見張りに二人。小屋の中に四人男がいて地下には俺の匂いのついた子たちと女の子のような匂いが合計七人分あるらしい。MPの残量は、うん、戦闘に支障はなさそうだ。


 不意打ちで犬をけしかけ見張りを倒すことに成功した俺はそのままドアを蹴破り中に突入した。そこで久しぶりな相手と再開する事となった。

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