第8話
ステータスを開きお?と思ったがまずはブレスレットの登録を終えた。これで残るはドレスだけだ。少女姿に変身した時よりも能力には期待が持てるだろう。ドレス姿で動きまわる自分を想像すると萎えるが。
先程気になったステータスを再び開く。スキルに槍術1と契約、2つのスキルがはえていた。槍術は普段の鍛錬の結果かな?特に何も実感はないため一定の技量を越えたのかもしれない。そして契約だが相棒と契約して魔法少女になる儀式を行えるとなっている。
(相棒、契約、魔法少女。ここだけ抜き出すとなんか不穏じゃね?しかし連携してくる敵相手にソロはキツいってわかったところだしな)
相棒がどういうタイプかは分からないが戦闘に役立つ事を期待しスキルを行使する。
ポンッ!
と、小さな爆発とともに星やハートの演出とピンクの煙が出てきた。煙が晴れると桃色の兎が耳をパタパタとして浮いていた。
「キミが新しいご主人様っぴ?なんだかぱっとしないっぴね。これからよろっぴ!」
「えぇとよろしく…名前とかあんのか?」
「ないっぴ!ご主人様に任せるっぴ!」
ぴっぴっうるせぇと思っていると兎はこちらに近付き頭の上に着地する。呼び名はめんどくさいので相棒と呼ぶことにした。
期待していた戦闘力だが本兎曰く火の精霊らしく簡単な火魔法なら使えるはずだが産まれたてのためMPが足りず独力では戦えないらしい。しかし契約者に接触という条件があるが魔力を操作・変換し火魔法の流れを教えてくれるとの事だ。
(覚えなくても頭に乗っけてれば勝手に火魔法使ってくれるって事かな?実戦で覚えるタイプとか言ってこいつにも戦わせよう。)
確認したい事は済んだので変身を解除した。相棒も消えると思ったが頭の上で寝ている。他のスキルと違って姿によって切り替わらないらしい。この珍妙な生き物は文字通り相棒らしくどこへ行くにもついてくる事になるのだった。
ーーーーーー
街の住人からは陰で、孤児からは普通にウサギのおっさん略してウッサンと言われるようになった。不名誉なあだ名だが相棒を間に置けばターニャちゃんはじめ女児達ともコミュニケーションをとれるようになった。
犬飼はようやくチワワをテイムできたのに話題をウサギに取られぷりぷりと怒っていた。おっさん姿での不意の遭遇になってしまったが学校の清掃員のことなど意識外なのだろう。気づかれることは無かった。
どこでウサギをテイムしたのか聞かれたがスキルとは言えず白領のお祭の屋台で魔物の卵を買って最近孵化した、と誤魔化しておく。
ダンジョンでは自動砲台と化した相棒。まだ覚えないっぴ?と聞かれるが実はもう火魔法は覚えている。槍で戦いつつ魔法を撃つなんて器用なことDEX値を上げれば出来るかもしれないがきっとロスがうまれる。MPは俺持ちだし楽するためにも働いてもらうぞ、相棒よ。配下は相棒が焼き、指揮個体は俺が。と役割ができ安全に10階層をまわれるようになった。そうした日々を過ごしようやく最後の魔法少女装備がドロップした。
項目的にもドレスが出てくると思っていたがデフォルメされた犬の絵がついたブローチだった。相棒に確認するもドレスであってるとの事だ。解せぬ。換装登録しついに魔法少女への変身が叶う。いや、なりたかった訳では無いが…こういう鬱イベントは後回しにすると良くないからさっそく試す。
(換装っ)
身体の自由が効かなくなりギョッとしていると目の前に宝石箱が現れた。そこからブローチが飛び出し勝手に身体が動き出す。
両手でブローチを掴むと胸元に押し当てると同時に相棒が吸い込まれる。そして装備や服が光に包まれる。くるくる周りながらポーズをとる。胸を突き出したら光が弾け大きなリボンが出現しお尻を魅せつけるポーズをとったらまた光が弾けヒラヒラのスカートがひろがる。その後もポーズを取り続け最後に魔女帽子を被って横ピース!どーんっ★
「狙った獲物は逃さないっ!ラヴリーシリウス見★参!」
口まで勝手に…
中身おっさんがポーズとりながら痛い台詞を言うシーンを思い浮かべて欲しい。SAN値がごっそり削られるはずだ。実際俺の精神はやられ目が死んでしまった。ステータスを確認してしばらく休もう。
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出席番号:31
名前:ラヴリーシリウス
職業:魔法少女
LV:20
HP:B
MP:C
STR:B
INT:A
VIT:D
DEX:D
AGL:B
スキル:変身解除、槍術1、火魔法1、
ライラプスの猟犬
必殺技:ラヴリー・シリウス・アロー
ーーーーーー
狼ドロップだからか前衛的な能力が上がっているっぽいね。特にAGLの上昇が凄い。逆にINTとかは下がっている。あとはスキルと必殺技とやらが増えている。
★ライラプスの猟犬:索敵・追跡能力に長けた召喚獣を使役する。光輝く犬の姿をしている。召喚数は消費MPに依存する。
★ラヴリー・シリウス・アロー:召喚したライラプスの猟犬を大きな槍に変えて射出する。
★必殺技:魔法少女最大の攻撃。使用するとMPが0になり変身が解け少女へと戻る。
体育座りでぼーっとしていたら変身が解け倦怠感に襲われる。
同時に分離するかのように相棒が現れた。曰くMPが枯渇して変身が解けたとの事。魔法少女姿を維持するのに少しずつ消費されていくらしい。倦怠感はMP枯渇の症状だと教えられた。
どうやら魔法少女化は時間制限と倦怠感との戦いになりそうだ。ぐったりとした身体を伸ばし帰路へと着いた。
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