第7話
それからは稀に9階層で学生PTと顔を合わせることがある。チワワはまだ見つからないらしく犬飼に本当に見たのかと詰められるがギャルズに「早漏は嫌われるよ、ねー?」と話しかけゲラゲラ笑って一緒にからかっている。最初は警戒していたがこの二人とは仲良くなってしまった。その流れで10階層のボス攻略に誘われた。初見をソロで挑むより安心なので快諾する。彼等のPTは
水戸、僧侶(委員長)
都築、射手(ギャル)
真瀬、水魔導師(ギャル)
犬飼、調教師(坊主)
近藤、騎士(坊主)
と後衛多めのため前衛を務める魔物をテイムすべきなのだがチワワ沼にハマっている。俺は槍士という事にして前衛として加入し連携を確認する。情報では草原狼4匹に指揮個体1匹がここのボスらしい。騎士と俺で配下の狼をひきつけ射手がボスを牽制。前衛組と水魔法で配下を倒したらボスを囲む。調教師は僧侶の護衛。回復はお任せという作戦をたて10階層へと転送した。
結果を言えば楽勝だった。複数の草原狼はさんざん倒してきていたし指揮個体も配下がやられる迄吠えていただけでみんなで囲んでフルボッコにしてやった。そこまでは良かったがリザルトの場で内心焦っていた。ドロップの中に見た目、女児向けな魔法の杖が落ちていた。鑑定すると魔法少女という文字が出てきたので俺用装備だろう。ドロップ配当がどうなるか…。事情を知らなければ水魔導師の真瀬の物になるかもしれない。彼女を見るとみんながそう思っていたらしく視線が集まる。
「いやいやいやこれ装備して戦うときちぃっしょ。無理あるって。」と笑っていた。
だよね。と言いつつ困惑した空気が流れる。
「俺孤児院に寄付とかしてて欲しがる子がいたらあげてもいい?」
自分のためとは言えず孤児を言い訳に使ってしまった、すまんガキども。
そういう事ならと快く譲ってもらえたので助かった。その日は解散し今後も何かあれば協力しようということになった。
ーーーーーー
宿に帰った後、換装を使おうとするも装備が未登録ですとメッセージが出た。ウルフシリーズという項目が現れ杖の所にドロップ品を登録出来た。他にドレスやアクセサリーの項目があるため換装自体はまだ使用不可のようだ。シリーズ名からボスドロップが魔法少女装備とわかったので今後ソロで周回してみる事にした。PTを組めれば楽だがあいつらもチワワ探しがあるし装備を貰う口実が正直苦しい。今回予想以上に楽だったので気軽に考えていた。
翌日、ソロでのボス戦。
指揮個体が吠えると配下は四方に散らばり間合いを詰めてくる。1匹は撃退出来たが2匹目の飛びつきをステップで躱し3匹目は身を捩って避けるもそこまでだった。足を噛まれ激痛に苛まれる。槍を振り回し追い払うもその隙に指揮個体が前足を振り下ろしてくる。槍で防御するも足の怪我が響き踏ん張れず肩が抉られる。力を抜き緩んだ隙に後転し何とか抜け出す。
(まじでいってぇくそっ!少しおしっこ漏れたわ!)
配下が減った事で警戒しているのかすぐに追撃はこなかったので回復薬を飲み干す。支度金の大半をつぎ込んだ虎の子だ。歩き旅になったがそのかいはあったようだ。
地面を蹴り足の様子を確かめる。問題無さそうなので後ろに向い全力で駆ける。狼達が追ってくるが突出した奴がいたらすかさず叩きつける。狼との鬼ごっこは30分ほど続き体力は削られたが配下を倒し、その後は足を削り動きを封じて指揮個体も撃破する事に成功した。能力自体は配下と大差ないらしくゲームでいう連携してくる敵に対しての戦闘チュートリアルボスといったところか。
そんな相手に肉体的にも資金的にも痛手を負わされるとは…泣きたい気持ちを抑えドロップを確認すると可愛らしいブレスレットが落ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます