第6話
それから2週間、清掃とコボルト退治の生活をおくる。道具箱の箒のお陰で更に短時間、清掃も行き届いていると評判も良くなった。評価点も貯まり5階層を踏破出来たらFランク冒険者になれるらしい。LV9にはなったがコボルト狩りでのレベリングも飽きたため次に進むことにした。
2階層に到着する。
1から9階層はだだっ広い草原フロアとなっており、10階層は区切られた草原にボス魔物が待ち受けているらしい。
辺りを探索するがコボルトが複数出現する様になっただけのようだ。足払いが最早足折りと呼べる威力になっているため囲まれないよう立ち回り行動不能にしていく。魔法陣を発見する頃にはレベルも1つ上がり余裕の探索だった事で一気に3階層に進むことにした。
調子に乗ったと後悔する事になる。コボルトに混じり
(変身っ!)
少女姿になり小手調べと角兎に突きを放つ。するとあっさりと胴体を捉える事が出来た。おっさん姿の時の経験の蓄積…と思いたかったが若さゆえかセンスか、おそらく後者であろうがようやくふっきれる事が出来た。
男として少女姿になる事への忌避感はあるがステータス差以上に少女の身体は優秀だと思う。それに入門税を騙し取った奴らをギルドで見掛けることもなかったのでそろそろ警戒を薄めてもいい頃だろう。慣れ親しんだ身体のが動かしづらいのは衰えをまざまざと見せつけられたようで悲しいがダンジョン限定だ、と諦め帰路につくことにした。
ーーーーーー
おっさん姿で街に戻り一部精算を済ます。少女姿では清掃員のスキルが消えるため荷物入れの袋が使えない。ドロップ品は普通の鞄につめ、重くなったら変身解除してビニール袋につめかえる作業が必要になった。めんどくさい。
報酬を受け取り孤児院へと向う。コボルト肉に値段がつかないため依頼後も寄付をし続けている。肉が食べれて嬉しい・味や臭いはともかくお腹が膨れて嬉しいと概ね好評だ。孤児院の敷地にはいると
「おっさんくらえー!」
とクソガキが木の枝を振り回してくる。懐かれているのか馬鹿にされているのか、当たれば痛いので回避に専念するがやり返したくなる。おっさんなのは自覚しているが言われるとムカつく微妙な年頃なのだよ、30代40代というのは。
クソガキをわからせたい気持ちを抑え厨房に向かう。そこには黒髪黒目の少女がいた。過去に召喚された子孫なのかわからないが現地人である。顔立ちは日本人とは少し異なるが郷愁を感じ寄付を続ける要因になっている。
「ターニャちゃんこんばんは。肉はいつもの所に出しておくね。」
「はぃ、いつもありがとうございまぅ…」
ターニャちゃんは俺のことが苦手らしく小さい声でお礼を言うとすぐに去っていく、悲しい。他の孤児とは普通に話している所を目撃したので舌っ足らずな感じになるのも親近感を感じるのも俺だけのようだ。
角兎の肉も少しあるけど気付くよね?全然臭くないし黒っぽいコボルト肉と違いきれいなピンクだし。クソガキ達はかわいくないが飯は平等に行き渡って欲しいからな。
ーーーーーー
そうして異世界での日々を過ごしていく。いくつか階層を越え9階層に到達した。冒険者ランクもFと1つあがり、獲物も
ある日ダンジョン内を探索しているとチワワが1匹歩いていた。プルプル震えていたので誰かのペットが逃げ出したのかと思い近付くも逃げられてしまった。報告だけでもするかとギルドに戻った。
すると見覚えのある連中が目に入り慌ててトイレに隠れる。
(なんであの連中がここに?とりあえず情報を集めるか。変身っ)
少女姿になり耳を澄ませるとどうやら訓練期間を終え5人PTを作り東西南北と中央の防衛、ダンジョンでの鍛錬のため派遣されてきたようだ。
見覚えのあった女の子、委員長風の女の子とギャル2人に野球部風の坊主2人が青領を担当するらしい。委員長ちゃんはレベル上げしたいようだが他のメンバーはこんないかつい城塞都市ではなく繁華街のある街に行きたいらしい。
日本人なら多数決でこのままどっか行くだろうとチワワの報告をする。どうやらレアモンスターらしく草原狼の亜種らしい。可愛いですよねーと受付嬢が嬉しそうに語っていると話しかけられた。
「そこのお前ちょっといいか?」
振り返ると坊主と期待した目で見てくるギャルズに委員長ちゃん。
(俺の正体に気付かれたのか?そんな馬鹿な)
「今チワワがいたとか聞こえたんだが詳しく聞かせてくれ。」
どうやら違ったらしい。9階層で可愛い犬を見掛けた。それくらいしか私はわからないと言うと納得してくれたようだ。
話しかけてきた坊主の名前は犬飼。職業が魔物使いらしくチワワをテイムしたいらしい。ギャルズと委員長ちゃんにちやほやされたいのだろうな。わかるよその気持ち。
警戒対象が増えたが影響はなさそうだと安心し宿に戻るのであった。
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3話の変身後のステータス職業を
魔法少女から少女に修正しました。
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