第4話
せっかくなので少女姿のまま旅を続ける。
若さもあるだろうがステータスの恩恵か、順調に進むことが出来た。
青領境にあるバーレイ、黄領を護る最後の砦にして他領からの物資の集積地として鉄壁の防衛力を誇る城塞都市である。
都市に入るため検問に並んでいると冒険者と思われる三人組の男に声をかけられた。
「よぉ嬢ちゃん。一人で旅してんのか?」
「あぁ一応冒険者だからね。」
答えつつも少女姿のまま並んだ事を後悔する。この世界の倫理観がどうなっているかわからないが例え日本でも少女の一人旅は用心するに越したことはない。
実際に男達の目線に下衆な思惑が透けて見える。
「そうか。ソロだと大変だろう。ランクは?」
「Gランクの成り立てだよ。」
「ルーキーか。なら入門税を払うのもキツイだろ?代わりにだしてやるからパーティー組まないか?」
何言ってんだと思うも断ると面倒な事になりそうな輩だ。どうしたものかと悩むが
「ならお願いするよ。まず冒険者ギルドに行きたいんだが案内出来るかい?」
行動を共にする事にし雑談しながら待ち時間を過ごす。
三人組はCランクで田舎では稼げる依頼もないからバーレイへときたらしい。入門税である銀貨一枚を支払ってもらい冒険者ギルドへと向う。男達はパーティー登録のため受付へ、俺はちょっと失礼とトイレに入る。
(変身解除)
おっさん姿になった俺は何食わぬ顔で受付で拠点登録を済ました。
依頼を受けるためクエストボードを見る。集積物の運搬、倉庫整理・掃除が常設されていたため日々の糧は安全に得られるだろう。ギルドにはダンジョンへと通じる転送門もあり高ランク素材集めの依頼も貼られていた。
大きな都市ではあるが低ランクから高ランク依頼も揃い長く拠点に出来そうだ。
トイレの方からあのガキいねぇぞ、とか騒いでる奴がいるがどうかしたのかな?
掃除依頼を受けギルドをあとにした。
ーーーーーー
それから十日後ーー
おっさん姿の職業は清掃員。自分でも驚くほど簡単に汚れが落ち午前中には依頼を完了するようになった。
生活費はギリギリ黒字だが午後は貯蓄とレベリングのため弱い魔物討伐をする事にした。
★ダンジョン1階層に出現するコボルトの毛皮10枚。銅貨1枚。依頼主:孤児院。
転送門は到達階層までなら自由に飛べるため誰も倒さないある意味レアな素材だ。
品質は推して知るべしと言った所だがそれにしても依頼料が安い。
偽善でもなく安全マージンとりつつこなせる依頼を見繕った結果だ。
「善意の依頼というやつか。気のいいやつが多いと思ったがあてが外れたか?」
これからの付き合いで分かるだろうと転送門へと向かった。
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