エピローグ
「我が孫よ、おかえ——」
デクランが言い終わる前に、ルアは彼の顔面を蹴る。
爺が倒れたのを確認して、ルアは自室に飛び込んだ。
「……」
思考の大半は主。上の空でいると、ドアからひょっこり義父が顔を出した。
「ルーちゃん疲れたでしょ、初仕事だもんねぇ。
一家の
「まあ僕がルーちゃんと居たいだけなんだけどねぇ」
窒息死するかと思うほどに強く抱擁するアーモスを
「呪いあ」
「ちょっま、ストップ‼」
手で口を塞がれる。
「
力の限り暴れるルアに、レーガンまでもが話しかける。
「今日、ルアちゃんに服を買ってきたのよ。きっと似合うと思うから、着てみてほしいわ」
もみくちゃにされながら、ルアは何とか脱出する。ルイの後ろに隠れて縮こまった。
「おっと」
「主、皆こわい」
「「ええっ」」
ガーンとショックを受ける家族。
「——でも」
ルイの後ろから出て、晴れやかな笑顔を向けた。
「ルア、楽しい」
窓から入る月光とちらつく粉雪が、影を作って少女を照らし出す。
人形のように整えられた端麗な容姿。月を思わせる銀の髪と、快然な感情が渦巻いている限りなく白に近い灰色の眼。
ルアの名を与えられた少女はこの日、〝この世に生を受けてから初めて花笑んだ〟。
邪眼使いは奴隷に落とされ日々を謳歌する 天之那弥日(アメノナヤビ) @yu-zu-ri-ha
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