交差利き(クロスドミナンス)

 現在、地球上には確認される限り3000~5000種ほどの言語と、400種に及ぶ文字が存在しています。

 そのうち実際に使用されているのは約60種、メディアなどで公に使われているのは28種と言われています。


【歴史的文字】

原エラム文字 (シュメール)

アズティック文字 (メキシコ)

パウカルタンポ文字 (ペルー)


【現用文字】

ウルドゥ文字 (パキスタン)

アラビア文字 (中東・西亜・北アフリカ)

イ文字 (中国四川省)


 思いつくまま並べてみた歴史的文字は、ほぼ絵文字。現用の文字などでも、日本人から見たら絵のようにも見えます。外国人から見た日本語もそう見えるかもしれません。


 言うまでもなく、文字はもともと絵文字だったのです。


 それで、前回の書家となんの関係があるのか。

 引っ張るほどの話でもないのですが、鳥尾巻は「文字を絵のように覚えた」と書きましたね。読むのは難なくできたのですが、書く段になって問題が発生しました。


 たいていの文字や道具がそうであるように、右手を使うのを前提に作られています。


 鳥尾巻は左利きだったのです。


 見よう見真似で描く文字は全て反転し、鏡文字になっていました。自由にやらせてくれた両親は、いわゆる「矯正」というものはしませんでした。


【矯正】

欠点を直し、正しくすること。(広辞苑より)


 左利きは欠点ではありません。しかし、小学校の先生の考えは違っていたのです。宿題すべて鏡文字で出されたら困りますよね。笑


 要因は様々ですが、幼児は言語や論理的情報処理を司る左脳が未熟なので、目から入った情報が、感覚や感性を司る右脳にイメージとして伝わり、そこで反転現象が生じたままアウトプットすると鏡文字になると言われています。


 右利き社会に適合できるよう、放課後も残され徹底的に指導、担任の奨めで書道教室に通うことになりました。

 書道は好きだったのですよ。文字が書けるから。熱心に通ってそこそこの成績も修めました。

 ただ、右手の感覚は、慣れた左手の感覚と微妙に違うのです。


 要するに、右手で筆を使って自分の納得のいくように文字を書くことが出来なかったので、諦めたということです。


 しかし、先生の熱心な指導の甲斐あって、文字だけは両手で書けるようになりました。

 エピソードタイトルの「交差利き」とは、用途によって利き手を使い分けることを指します。

 診断テストもあるので、興味ある人はネットで調べてみてください。(雑にタイトル回収して丸投げ)


つづく

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