第46話 風邪②
「は…トラ……無理だ……息子…邪…」
昼過ぎ、すごい久しぶりにこの時間に寝ていた俺は突然誰かの声が聞こえてきた。
まぁ誰かとは言ったが現在俺の部屋には俺と母さんしかいないはずなのでどう考えても母さんの声なのだろうけど。
俺はベットから起き上がる。
念のためマスクを装着してからリビングに向かった。
「母さん、どうした?」
「あ、ごめん智起こしちゃった?ちょっとあんたのせいで息子が起きちゃったじゃない」
多分どちらかというと母さんのせいもしなくはないが今はつっこまないでおこう。
「それでどうしたの?」
「あー…今ちょっと会社でトラブルを起こしたみたいでねぇ、でも智の面倒が見られなくなっちゃうから」
「そういえば父さんは?」
「仕事なんだけどもしかしたら早く終わるかも、とは言ってたのよねぇ…」
もう昼過ぎなのにいまの今まで父さんの現状を知らなかった。
俺と母さんが悩んでいると、突然母さんのスマホが震えたように見えた。
母さんはもう一度スマホに目を通す。
「あら、お父さんからだわ。えーと…」
「父さんなんて?」
「今昼休憩でこのまま行けば四、五時ぐらいには帰れそうだって」
なんという奇跡的なタイミング。
現在、一時前、父さんの予定通りに行けば三時間ぐらいか…。
「それだったら別に俺一人でも大丈夫だよ」
「えー、でも三時間もあるのよ?」
「多分大丈夫だよ。今は落ち着いてきてる感じがするし、それに母さんの会社もやばいでしょ?」
別に強がりなわけではなく本当に朝よりかは落ち着いてきてはいる感じがする。
やはり寝て安静にしていたからなのだろうか?
「それはそうだけども……」
「三時間ぐらい大丈夫だよ」
「うーん………わかった…」
しばらく考えた母さんだったがついに折れてしまい俺の提案に頷いた。
「その代わりなんかあったら絶対に連絡しなさいね。実際会社なんかどうでもいいんだから」
「ど、どうでもいいと…」
会社ってどうでもよくはなくね?
まぁそれだけ俺を思ってくれていると思うとありがたい話でもあるか…。
それから母さんの口が止まることはなく、外に出るまでずっと俺に注意の言葉をかけていた。
三時間かぁ……。
短いかくはないが別に長くも感じない時間でもあるし……なんとかなるか?
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