第45話 風邪

「…あれから実家で『お兄ちゃんどこ?』ってずっと言ってました」

「すごい懐かれたなぁ…」


 動物園に行って休み明け。

 あれからは何事もなく無事に帰ることができた。

 花守さんは信弥くんを実家に連れて行き、そのまま実家で過ごしたようで帰ってきたのは昨日の昼前だったらしい。


 そして現在、今日も普通に学校へと登校している。

 でも、まさか信弥くんがそこまで俺に懐いてくれるとは、嬉しいもんだねぇ…。


「それでです……くしゅっ…」

「花守さん?」


 信弥くんの話で登校時間が終わるかと思っていると突然花守さんが咳をした。


「大丈夫?」

「はい、大丈夫です。…それにしても…風邪でしょうか?」

「まぁ、最近寒くなってるからね」


 ここのところ十月中旬にしては少し寒くなってきている。

 風邪とかインフルとかは寒い日とかはよくかかりやすいらしい。

 理由は体温が低下して抵抗力が弱まるとかなんとか、テレビで言ってたのでよく覚えていない。


「確かにそうですね、…念のため病院に行っておきましょうか」


 すると、花守さんはカバンを開け、中を手探りすると中からマスクを取り出すとそのまま口に装着する。


「やっぱり花守さんはちゃんとしてるなぁ」

「ん?あーこれですか。まぁ、何が起こるか分かりませんからとりあえず」

「俺にも出来ることがあったら言ってね」

「はい、ありがとうございます」


 花守さん風邪じゃないと良いな…。

 そう思いながらまた普段通りに投稿をしていくのであった。


—— —— ——


「うん風邪だね」


 母さんはそう言って体温計を俺に向ける。

 三十七度八分、平熱よりも全然高い。

 江崎智、現在めんどくさいことに風邪にかかりました。

 でも、まだ頭がぼーっとする感じだけで多分まだ軽い方だろう。


「とりあえず今日は学校休みな」

「うん」

「学校には私から連絡しておくから」

「うん………あ」


 連絡というとこで思い出した。

 花守さんはまだこの状況を知らない。

 そのためこのままだと花守さんを外で待たせてしまう。

 なので俺はスマホを取って花守さんのトーク画面を開く。


『すみません今日風邪を引いてしまったので休みます』

『大丈夫ですか?!』


 出来るだけ分かりやすく詳細を送っておく。

 少し経ってからかと思ったがなんとすぐ既読がつくと一瞬にして返信が来た。


「それじゃあなんかあったらメールでもなんでもいいから呼んでねリビングにいるから」

「うん、ありがとう」


 母さんはそれだけ言うと寝室から出て行った。

 俺は花守さんと少しの間連絡のやりとりをしてからベットの上で寝て休むことにした。

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