第32話
「全員注目ー」
ホームルーム前、クラスメイトがそれぞれ友人同士で話している時ツッチーが黒板前に立つかと思えばそこで教室に響き渡るように言った。
「もう早くも九月になり、今の席に飽きてきてるやつもいるのではないか。そこで今から席替えを行う!」
ツッチーの言った言葉、主に後半の言葉を聞いた瞬間教室内がざわついたかと思えばそのまま友人と話をする。
適当に聞き耳を立ててみると、『一緒がいいね』とか『俺ここ好きだったんだけどな』とか色々人によって変わっていた。
席替えかぁ……俺とっては良かったも悪かったもどっちもないな。
何故ならこんな不良だと思われる顔なので相手から関わりを持つどころか避けられている感じだ。
そのため席替えをしても俺的には黒板の見えやすさが変わるだけのものだと思っているのだ。
その後ツッチーが席替えについて簡単に説明してくれた。
やり方は単純にくじ引きで決め、紙に書かれた番号と事前にツッチーが適当に決めた席の番号が一緒の所に行く形だ。
ツッチーが白い箱を教卓の上に置くと出席番号順にくじを引かせていった。
このクラスは四十二人で結構時間がかかるかもしれないが、俺は四番なので結構初めの方でくじを引く。
「次、江崎だ」
俺はそう呼ばれ席を立ってくじを引きにいく。
とはいっても先ほども言った通り別に席にはこだわらないので深く考えずパパッと引いた。
二つ折りにされた紙を広げると『二十三』と書かれていた。
俺は背面黒板に掲載された席の紙を見にいく。
(二十三……二十三…あ、あった)
二十三と書かれた席は窓側から二列目の前から六番目の位置にあった。
俺は喜びも悲しみもせずとりあえず全員が引き終わるまでゆっくりしようと席に戻った。
「よし、全員オッケーな。それじゃそのまま席移動してホームルーム終了な」
全員が引き終わると、教室内が机を動かす音で騒々しくなった。
俺も先ほどの席へと移動するため机を動かす。
「あ、江崎さんがお隣ですか」
俺は新しい席へと移動し終わるとボケッと椅子に座った。
しかしそんな俺に左から聞き慣れた声が呼びかけていた。
声がした左側へと向くと予想していた花守さんが座っていた。
「花守さんが隣なんだ」
「はい、これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「あのー、俺もいるんだけど」
俺と花守さんが変に挨拶をしていると後ろからまたしても俺に対して声が聞こえた。
後ろを向くと今度は修哉が頬杖をついて座っていた。
「うわぁ……」
「おい、なんでそんな不服そうなん?!」
「いやだって、授業中うるさそうだもん」
「安心しろって怒られても週三くらいだけだから」
「全然安心できないんだけど…」
今回の席は修哉のせいで大変そうだと感じながらも、これからが楽しみだなという自分がいた気がした。
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