第31話 一日(朝)

 ピピッピピッ…ピピッピピッ…

 突然上の方から目覚まし時計のアラームが鳴り始めた。

 その音で意識が覚醒した俺はまだ寝足りないが学校に遅刻するので無理矢理体をベットから起こす。


 洗面所で顔を洗ってからリビングに向かい、朝食と昼の弁当の準備をする。


(今日は……目玉焼きでいいか)


 俺は朝食はあまり食べないのでなるべく軽食で済ませる。

 昼食の方は昨日作って余ってしまった三食丼にする。


 冷蔵庫から卵一個を取り出し、サラダ油で熱したフライパンに卵を入れ、俺は固焼き派なので蓋をして中火、弱火で数分ほど置いておく。

 待っている間に三食丼の材料をレンジで温め、三つ全て温め終わったら保温弁当箱にご飯、三つの材料を綺麗に並べれば一瞬で昼食の弁当が完成した。

 そして、蓋をして置いたフライパンの蓋を取り、良い感じにできた目玉焼きをヘラで皿に移せば朝食も完成だ。


「いただきます」


 皿をテーブルに持って行き、手を合わせながらそういうとそのまま朝食を食べ始めた。


―― ―― ――


 朝食を食べ終え、ひと通り準備を終えた俺は鞄を持ちながら時計を見る

 時刻は七時二十分。

 前まではここから学校が近いこともあり、四十分とか五十分とかに出たりしていたのだが、最近は花守さんと一緒に登校するようになると大体この時間帯に出ることが増えてきた。


 鞄を肩からかけて部屋から出て、鍵をかける。

 一応待ち合わせの場所はマンションの入り口の前ということになっている。

 場所に向かうと通行人は何人か居たりしたが目的の花守さんはまだ来てはいなかった。


「すみません江崎さん、お待たせしました」


 待っている間スマホをいじって待とうとするとそれよりも早くマンションの中から花守さんが少し駆け足で出てきた。


「おはよう花守さん、俺もさっき来たばかりだから」

「そう言っていただけるとありがたいです」

「それじゃあ行こうか」

「はい」


 そういうと俺と花守さんは並んで学校の方に歩いて行く。


「そういえばコンビニに新しいスイーツがでてたんです」

「コンビニスイーツかぁ、最近食べてないな」

「それがシュークリームだったんですがとても美味しくて……」


 少し歩くと花守さんがコンビニスイーツの話をしてきた。

 毎日静かに二人で登校するのは少し寂しいのでこうして、最近あったことをネタに談笑をしている。

 とは言っても俺の日常に面白いことがあることはほとんどないので大抵花守さんの話が話題を出して俺がそれを広げていく形になっている。


 花守さんと楽しくスイーツの談笑をしているとこちらに(ほとんど俺)視線が向いていることに気づく。

 周りを見ればもはや見慣れ、俺の日常にもなっている怖がっている学生が結構いた。

 最初の頃の俺ならばため息をつくところを見慣れていることもあり、この状態になったらもうすぐで学校なんだなー、とお知らせみたいに感じていた。


 ちなみにこのお知らせの効果は絶大で一分経ったぐらいでもう学校に着いた。

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