第33話 体育祭

『宣誓!我々選手一同は日頃の練習の成果を最大限発揮し、スポーツマンシップにのっとり……』


 快晴なせいもありいつもより蒸し暑い今日、学校のグラウンドには色によって整列されている生徒たち。

 その列の前で色の分の生徒たち五人が校長先生に向かって選手宣誓を行なっていた。

 九月下旬、今日は学校行事のひとつである体育祭なのだ。

 

 選手宣誓をしていた五人の各団長は宣誓を終えると速やかにその場から離れ自身の団に戻っていった。

 そして校長先生の話になるのだがさすがにこの暑さの中いつも通りに話していたら熱中症で倒れてしまうと考えたのか今回はいつもの半分以上の時間で済んだ。


「うおぉぉぉ!!黄団今年こそは絶対に優勝するぞー!」

「「「うおぉぉぉ!!!」」」


 開会式が終わって各団に用意されたテントに戻ると長いハチマキをした一人の男子生徒、団長が大声で叫んだかと思えばそれに続いて黄団の人たち、主に三年生の人たちも叫んだ。


「団長さん気合い入ってるね」


 すると俺の隣にいた坂上くんがそう言ってきた。

 団はそれぞれ赤団、青団、緑団、黄団、白団の五つの団に教師によって分けられる。

 そのため花守さんや修哉など友人全員が同じ団になることはなかったが坂上くんとは同じ団になることができた。

 ちなみに花守さん、修哉は青団、水瀬さんは緑団、玉井さんは白団に分かれた。


「まぁ、うちの団ずっと負けっぱなしだったみたいだからね…」

「あぁ、やっぱそれなんだ」

「あの団長の必死な目を見ればね」


 そういうのも俺と坂上くんが所属する黄団は一年間や二年間などではなくなんと六年間ほど四、五位争いを繰り広げている団でもあった。

 別に黄団が弱いというわけではなく毎年どの団も僅差な結果になり、最終的に四、五位になってしまうのだ。

 そのため今年こそは必ず勝つため団長及び団員たちは必死に努力しまくっているのだ。

 その証拠に現在の待ち時間も叫んでいるのであった。


「江崎くんは何を選択したんだっけ?」

「俺は個人は騎馬戦と借り物にしたよ」


 団体種目を抜く個人種目は体育祭の練習時に各クラスから同じ人数になるように選ぶ。

 俺は帰宅部でありながらも運動はそれなりにはできるので種目は最終的に余ったやつを選んだ。


「僕は借り物と徒競走だよ。…それじゃ頑張ろっか」

「だね」


 今回優勝を目指す団長たちのためにも少しでも力になれるよう頑張ろうと思うのであった。

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