第24話 実家
海に出かけてからもう一週間ほどが経過していた。
その間で俺の生活が一変するわけもなくいつも通り平穏に部屋で過ごしていた。
昼過ぎ、俺がスマホに入れてるアクションゲームで遊んでいるとスマホから急に音が鳴り始めたかと思うと画面が通話の画面に切り替わった。
相手は父さんからだった。
俺はすぐ通話ボタンを押す。
「もしもし」
『あ、智おはよう』
電話からは変わらず元気そうな父さんの声が聞こえた。
「うん、おはよう。それでどうしたの?」
『今夏休みだろ?暇なら久しぶりにこっち来たらどうかなぁと』
「仕事は大丈夫なのか?」
『あぁしばらくは俺も母さんも休みだ』
俺と家族が最後に会ったのは高校の入学式で、もう四ヶ月近く顔を合わせていない。
別に仲が悪いどころかめっちゃいいのだが、俺も学校だったり、両親は仕事が忙しかったりでなかなか会えないだけであった。
確かにここ最近は暇をしているし、夏休みを逃して次会うとしたらいつになるか分からないので今回を機に実家に帰ることにする。
「うん、そうしようかな」
『お、そうか。いつにする?』
「んー、早めに行きたいし明日でも良いか?」
『構わないぞ。じゃまた明日な』
「あぁまた明日」
そういって通話が終了した。
俺は立ち上がって荷造りをしに行った。
―― ―― ――
実家はここからすぐ近くだ。
電車に乗って一駅先、さらにバスに乗って数分揺られればもう着く。
久しぶりに見る実家はとても懐かしく感じた。
俺はインターホンを押す。
しかし、そこから声が出ることはなく、代わりに家から足音が聞こえてきた。
足音が近づいて来たかと思えばドアが勢いよく開いた。
「お兄ちゃん!」
出てきたのはショートボブ姿の一人の女の子、俺の妹の霧香だった。
「ただいま霧香。母 父さんたちは?」
「中で待ってるよ」
そういうと霧香は俺の腕を引っ張って家の中に連れ込んでいく。
左手側にあるドアを開けて入ると中にはソファに座って待っていた父さんと母さんの姿があった。
「ただいま」
「おかえり智」
「おかえり。またでっかくなったか?」
「この前二センチ伸びた」
俺は持ってきた荷物をソファの横にかけて、俺の定位置となっている床のところに腰を下ろす。
「それでどうだ高校は?」
そう言ってきたのは父さんだった。
やはり家族としてそこは気になるのだろう。
「あぁ楽しいよ」
「本当か?智、小中のころ楽しくなさそうだったし心配でな」
「一応楽しかったよ修哉居たし、それに…俺にも高校で新しい友達ができた。なんかこれからが今までよりも楽しくなる気がする」
俺がそういうと初めは驚きの表情をしていたがそれはすぐに嬉しそうな顔になっていった。
「そうか…。良かったな智」
「あぁ」
俺は今まで父さんたちに心配をかけてしまっていた。
俺が心配しないでくれと言ってはいたがそれでも心配にはなるのだろう。
なのでこうやって安心した顔を見れたことが俺にとってはとても嬉しかった。
「ねぇねぇお兄ちゃんそのお友達のことについてもっと教えてよ」
すると、霧香がそんなことを聞き出した。
「ん?なんだ気になるのか」
「うん、ちょっとね」
霧香は基本人のことについてはあまり聞かない、どちらかというと興味がないので少し珍しいものを見たと感じてしまった。
しかし、これは俺個人のものではないので話さない方がいいのかな。
「んー、俺がペラペラ喋るのはいけない気がするんだよな…」
「あーそっかそっか。じゃあその人の性別と出会い方だけでもいいから」
んー、それぐらいならいいのかな…。
名前とか許可がなくて話すのはどうかと思うがそれぐらいならいいのかな。
一応後でそれぞれに謝ったとくことにしよう。
てか、条件が何故か具体的なのは気のせいかな?
俺は少し抵抗感を覚えながらも、それだけならと思いながら話すのであった。
何故か女子の時だけ真剣に聞いてたのはこれもまた気のせいなのだろうか。
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