第17話 買い物

「おい、智!これどうだ」

「…なんでそんなんばっかなの……」


 マンションから近い駅から二駅ほどいったところにあるショッピングモールに現在、俺は修哉と買い物に来ていた。

 買うものは近々行く予定の海で必要なものともう小さくて履きにくくなった水着の新調だ。


 修哉が選んで持ってきた水着はメンズビキニ?とかいう水着。イメージとしては超マッチョな人が着けているあれだ。


 …正直言ってクソ似合わん。

 別にこれは俺の偏見ではあるが、こういうのはやはりボディービルダーとかそういう系の人が着るのを見ると全然不自然ではない。

 確かに修哉も運動部に入っているおかげで腹筋とか割れてるけど、それでも修哉が着ると違和感の塊にしか見えない。


 そして修哉がこういうのを持ってくるのは今のでもう四回目だ。

 …こいつって本当こういうの好きだな。


 とりあえずこの水着は戻すように言っておく。


「てか、智は選んだのか?」

「ん?あぁ俺はこれだな」


 そういってカゴの中に入れていた紺色のシンプルなデザインの水着を取り出し、見せる。


「…お前ってそういうのばっかだよな」

「変なの持ってくるやつに言われたくない」


 はぁ、と呆れた感じでため息をついているが修哉のほうが相当やばいだろ。


「仕方ない俺が選んで…」

「それだけは拒否する。それよりも修哉のやつを選んでやるから」


 そういい俺は修哉の水着を見繕いをしに行った。


―― ―― ――


「あ、そういえばよ」


 結局修哉には黒色の水着にカーディガンを羽織らせる形になった。

 当の本人は少し不満そうだったが変な格好で遊ばれるよりかはこちらの方が安心だ。


 そして、今度は海で遊ぶための浮き輪やらビーチボールやらなどを買いに来たのだが、修哉は何かを思い出すように言ってきた。


「結局行く人数は六人になったぞ」

「六人…てことは俺の知らん人が四人いるってことか?」

「いや花守さんもいるから三人だ」


 そうか花守さんも来るのか。後で色々聞いておこう。

 それよりもまさか後三人来ることには驚きだ。

 別に自慢にしたくはないが、俺が参加すると知ったら大抵の人は参加しなくなる現象があるので、今回の遊びはあんまり期待はしていなかった。


「よくそんなに来たな」

「ちなみにその三人は花守さんの友達二人と俺の友達のサッカー部のやつだ。みんないい人だからすぐ仲良くなると思うぜ」


 こうして聞かされるとやはり修哉は人付き合いが良いんだなと感じる。

 俺は基本席からしか見ないが修哉は男女問わずとても仲が良い。

 修哉は少しバカっぽくおちゃらけたりするが多分それが相手にとってはとても親しみやすいのだろう。


「お前ってやっぱ友達多いんだな…」

「お、なんだ嫉妬か?ははっ、安心しろ俺とお前は親友だからな」


 そして多分俺もそのうちの一人なのだろう。こんな賑やかな感じが俺の中ではとても心地よく感じてしまう。


 ある程度ものを買った俺たちは少し遠回りをしてから帰った。

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