第18話 海①
もう早いこと夏休みが始まって二週間ちょい。
そして今日は八月八日、海で遊ぶ日だ。
スポーツドリンクに日焼け止め、昨日買ったまだ空気を入れていない浮き輪にビーチボールなど必要なものがしっかり入っているかもう一度リュックの中を確認する。
(…あ、あと空気入れか)
肝心の浮き輪などを膨らませるために必要な空気入れを忘れていたので持ってきていれる。
もう大丈夫と思いリュックを背負い部屋を出た。
「あ、江崎さん。おはようございます」
鍵をかけたことをしっかり確認してから俺はエレベーターに乗り込んだのだが、エレベーターの中には花守さんがすでに乗っていた。
「花守さんおはよう」
「もう駅に向かいますか?」
そう聞かれたのでスマホを取り出す。
現在の時刻は八時半、俺と花守さんが乗る電車は八時五十分だ。
ここから駅までだとそんなにかからないがゆくっり歩いていれば丁度いい時間にはなるだろう。
「うん、そうしようか」
「はい」
そう言ってゆっくりと駅へと向かった
―― ―― ――
駅に着くと丁度電車がやってきた。
乗り込むと中は今から仕事に行くであろうサラリーマンたちや俺たち同じようにどこかに遊びに行くのか子連れの家族や中学生が見受けられる。
しかしその中に修也などはいない。
まぁその理由は家の場所の関係上この駅から遠かったりそれよりも近い駅があったりで今回は別々で海に向かうことにしたのだ。
とりあえず空いてる席を探してみる。
丁度二席分空いてるところがあったので花守さんを連れてその場所へと向かう。
しかしその場所の隣に座っていた男の人が俺が近づくのに気づき顔をあげる。
その瞬間俺の顔を見るや否や明らかに怖がる様子になり、今いる場所とは反対の位置に立って向かっていったので席は三席になった。
(俺やっぱ大丈夫かな、今日…)
そんな出来事に俺は内心今日来るほかの三人とちゃんと遊べるか心配になってきた。
「あの、江崎さん大丈夫ですか?」
すると隣から花守さんが心配そうに尋ねてきた。
やっぱ俺って感情が顔に出やすいタイプなのかな?
まぁこの話は聞いても面白くもないので別の話題に移す。
「うん、大丈夫だよ。…あー、えっと花守さんは夏休みなにやってたの?」
「私ですか?そうですね…友達と出かけたりもしましたが基本部屋で宿題を片付けてました」
「そうなんだ。俺も基本……いやほとんど勉強してたかな。あ、そういえば少し分かんないところあったから今度教えてくれない?」
「はい、構いませんよ」
そうやって俺たちは目的の駅に着くまで談笑を交わしていた。
―― ―― ――
電車に揺られることおおよそ三十分、ようやく海から近い駅に着いた。
駅の中から出て、広場に向かう。
この前の買い物時にここにで集合と聞かされており、すでに他の人たちは到着してるとさっき修哉から連絡が来た。
辺りを見渡して、それらしき人物を探すと、一人こちらに向かって手を振っていることに気づく。
「悪い、待たせた」
「いや言うてそんな待ってないし、大丈夫だよ。それよりもそろそろ行くか」
そういうと修哉は『おーい、来たから行くぞ』と近くにいた三人に声をかける。
「お、来たのか。んじゃ行く…か……」
しかしそう言ってこちらに歩いてくるのだが、三人とも俺を見るや否や驚き、怖がり、困惑している様子の顔が見られた。
まぁつまりさっきの電車の中の男の人のような感じだ。
……え?なんで?
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