第15話 雷雨③

 テレビ上にある時計を見ると十二時前を表示しており、窓の外を見ると朝よりかは落ち着いたがまだ雷雨が続いている。


「花守さん昼飯食べてく?」


 そろそろ昼飯の時間となるのだがまだこんな天気なので花守さんはまだ少しきついかもしれない。

 なので今回はうちで昼飯を済ませていってもらおうと思い隣に座っている花守さんに聞いてみる。


「そ、そこまでしていただなくても…」

「大丈夫だよ一人分が二人分になるだけだし。それに俺は花守さんがちゃんと昼飯食べれるか心配だし」

「そ、それは…」


 花守さんは、んーっと声を唸らせて考え込んでしまう。


「……お言葉に甘えてもいいですか?」

「はい。それじゃあ作ってきますので待っていてください」


 そして申し訳なさそうな顔をして俺の提案に乗ってきてくれた。


「あ、あの私も一緒に作ります!」

「え。でも俺だけでも大丈夫だし…」

「いえ、ずっとしてもらってばかりなのでやらせてください!」


 さっそくキッチンに向かおうとするのだが花守さんが一緒に作らせてほしいと頼んできた。

 別に今回作ろうとしているのはチャーハンで一人でも簡単に作れる。

 なのでわざわざ手伝ってくれなくても大丈夫なのだ。


 しかし、花守さんはこれだけは絶対に譲らないっ!みたいな顔をしている。

 多分俺はそれに根負けしたのだろう。


「…じゃあお願いしてもいいですか」

「はい!」


 結局手伝いをお願いし、二人で昼食の支度に取り掛かった。


―― ―― ――


 花守さんはやはりというかとても手際が良かった。

 野菜は見るだけでも分かるぐらい手慣れており、素早く切られていった。

 そこからも流れるような準備をするなどと俺は内心で感心していた。


 そんな花守さんの手伝いのおかげもあり、昼食は俺が思うよりも早く出来た。

 完成したチャーハンを二人分の皿に乗せ、テーブルへと運ぶ。


「「いただきます」」


 俺と花守さんは食事前のお馴染みの言葉を口にしてからチャーハンを口に入れる。

 味は……まぁ自分にしては良く出来たほうなのではといった感じだった。


 そして、向かいの席にいる花守さんはチャーハンを口に含むと美味しい!と顔で表現してるように見えた。


「とても美味しいです!」

「そう?それなら良かった」


 花守さんからのお褒めの言葉をいただいて俺はとても嬉しくなる。

 それからも花守さんが食べるたびにとても美味しそうに食べるのを俺は夢中になって見てしまっていた。


―― ―― ――


「外、だいぶ落ち着いてきたね」


 昼飯を食べ終えてから少しすると外の天気はだいぶ落ち着いており、雷はどこかへ行ってしまっていた。


「そうですね。ではそろそろお暇させていただきます」


 花守さんはそういうとソファから立ち上がる。

 少し忘れていたが今回花守さんがうちに来た理由は雷が原因だ。

 そんな原因がどこかへ行ったのだからもうここにいる理由も同じくなくなる。


 俺は花守さんを玄関まで見送りに行く。


「今日は本当にありがとうございました」

「うん、また何かあったら呼んでね」

「はい」


 花守さんは言い終えるとドアに身体を向け、ドアの取っ手に手をかける。

 しかし、花守さんはそこで動きを止め、再びこちらに顔だけを向けて、


「あ、あの…用事がなくてもまた来ていいですか?」


 そんなことを言ってきた。

 最初は戸惑いこそはしたが別に断る理由もなかった。

 なんなら友人がうちに来てくれると思うととても嬉しいことだった。


「全然構わないよ」

「あ、ありがとうございます…」


 そういうと今度こそドアの取っ手に手をかけ、外に出て行くのであった。

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