第13話 雷雨①

 ザーザー…ゴロゴロ…


「雷までかよ…」


 窓に目をやると雨が激しく窓を打ちつけて、灰色の雲からは何かが唸っているように雷が鳴っていた。

 確かに昨日大雨になると天気予報で言ってはいたが雷までついてくるなんて予想外だった。


 しかし今日は日曜なので、最初から平日の疲れを癒すためにだらけるつもりではあったので特に支障もなかった。

 ただ唯一気にするとすれば停電ぐらいだな。

 もし停電なんてしたら冷蔵庫の中のものがダメになる可能性があるのでそれだけはないようにと内心で祈っておく。


 雷雨は別に好きでもないので見るのをやめこれから何をするか考えみる。

 やはりここは定番?でもあるゲームとか映画鑑賞などだろうか…。


〜〜〜♫


 するとテーブルに置いていたスマホから着信音が鳴り出す。

 とりあえずスマホを手に取り確認すると、画面には『花守』とだけ表示されていた。


(花守さん?)


 俺は珍しいなと思いながらも応答のボタンを押して、スマホを耳に当てる。


「はい、江崎ですけど」

『え、江崎さん。あ、の花守です…』


 スマホ越しから聞こえてきた花守さんの声はなにか震えてるような感じで言葉が詰まっていたりしていた。


「あのどうかしたの?」

『そ、そのすみませんが今か、ら江崎さんのお部屋にお、お邪魔させてもらえま、せんか?』

「へ?な、なんで?」

『理由は、後で言いますのでお、お願いします』

「わ、かった?」

『す、すみません今から急いで行き、ますので』


 そうして通話は終了した。

 俺は突然のことに頭の処理が追いついていなかった。


(あ、てか花守さん俺の部屋分からないよな)


 そういえばと今思い出したが花守さんは俺の部屋はどこかは知らない。

 この前のスイーツを食べに行った時に俺が先にエレベーターを降りたのでそれを覚えていれば階だけはわかると思うが…。


 一応玄関の外で待っていたほうがいいだろう。

 そう思い座っていたソファから腰を上げて玄関に向かう。


ピシャーン!!

「きゃっ!」


 その瞬間窓の外が光ったと思うとそれに続いて雷の落ちたような音がした。

 そしてその音に交じって誰かの声が聞こえた気がした。


 俺は少し嫌な気がして小走りで玄関に向かい、ドアを開けると、


「だ、大丈夫花守さん?」

「え、江崎さ…ん」


 そこには可愛らしいクマのぬいぐるみを抱いている涙目の花守さんが座り込んでいた。

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