第12話 テスト期間③

 さて色々あったがテスト勉強をしていく。

 とはいっても高一の一学期の内容なだけあっていつも少し復習でもしてれば特に詰まることは感じだったので俺と多分花守さんも同じだったようで黙々とやっていく。


 それに対し修哉は分からないことが多いようすで数分おきに聞いてくる。

 それは俺も復習になるので教えている。


 しかしするすると問題を解けない俺は急に分からないとこが出てくる。

 今やってるのは英語だ。

 修哉は…論外なので、花守さんに聞くことにする。


「花守さんここを教えて欲しいんだけど」

「はい、ここはですね…」


 花守さんは俺のノートをみてから教科書に指を当てて教えてくれたのだが。


(ち、近い…)


 俺に教える際にこちらに寄ってきたのだがその距離がものすごく近く、少し目線をあげると目の前に花守さんの顔があった。

 ちゃんと教えてくれてることは頭に入れられているのだがやはりこっちに気がいってしまう。

 

 改めてみると花守さんはやはり綺麗だ。

 大きくクリッとした目に、ちゃんと手入れがされているであろう茶色の髪に白い肌。

 そして花守さんからは良い匂いがしどこか落ち着く。


「…な感じですね。なにか分からな…」


 すると説明が終わった花守さんが目線を上にあげ…俺と目があった。

 そして俺はその目をじっと見つめてしまった。


 花守さんは固まったままこちらをみた。そして徐々にその顔は真っ赤かになっていった。


「す、すみません!近かったですよね…」

「あ、いやこちらこそじっとみてごめん」


 バッと花守さんはその距離から離れて、俺に謝ってくる。

 するとどこからか視線を感じる。

 左に顔を向けると修哉が俺と花守さんを交互にじーとみていた。


「ん?どうした修哉?」

「いや気にせず。あー、なるほどなるほど。こりゃ面白そうだ」

「?」


 何かよく分からんことをニヤニヤしながら言っている。


 まぁ少しあったがこうして今日の勉強会は日が暮れる頃まで続いた。


―― ―― ――


 数日後。

 あれからも喫茶店にての勉強会をして、今日を含めやっと三日間のテストは終わりを告げた。


「智ありがとうー。おかげで補習はない」

「いやまだないわけではないだろ。それに俺だけじゃなくて花守さんにも言っとけな」


 修哉曰く、今回のテストは今まででないぐらいの答案用紙だった(つまりいつもはほとんど空欄ということ)らしく、修哉の中では補習はないみたいだ。

 そんな俺も今回のテスト、特に文系は何やらすらすらと解けた。

 俺も後でお礼を言わないとな。


「あぁ本当にな。今度お礼するわ」

「期待してる」


 そしてこれにて夏休み前のイベントのようなものは終わり夏休みを待つのであった。



 ちなみに今後話すことはないと思うのでここで一応少し先のテストの結果を言っておく。

 二百三十四人中花守さんは一位に、俺は二十四位に、肝心の修哉は百十五位で赤点はなかった。

 つまり夏休み中の補習はなくなったということで終わったのであった。

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