第13話 山口線

朝、ホテルで目を覚ますとまだ雪は降っていた。ゆっくりとホテルでの朝食を済ませ、大阪への経路を確認する。木次線にのり、備後落合駅で乗り換えて新見経由で岡山にでる予定であったが木次線は雪で止まっていた。

「あっ」と思ったが、この状況でなぜそこまで考えが回らないのかと自分の能天気さにイラッとしながら、ほかにも路線はあると一呼吸つき思い直す。

米子から伯備線に乗り新見で乗り換え岡山にでる。

または、鳥取から津山方面に抜け岡山もしくは相生に抜ける方法もあるが、雪が出雲市駅から鳥取方面の遅延を生んでいる。このままでは今日中に大阪に戻るのは無理であることに気が付いた。

まいったぁ。もう一泊しようか。。。着替えはコインランドリーがあるからなんとかなるし、懐具合のもう一泊はできそうである。ただそれは青春18きっぷをつかう前提であることを思うとちょっと厳しいと感じた。

愛用のJR私鉄乗りつぶし地図帳を片手に路線をにらめっこしながら、ヤフーの鉄道案内にいろいろな路線を入れ、帰るルートを探る。

そしてみつけた。

一瞬遠回りに思えるが、確実に大阪に戻れるルートを見つけた。

早起きは三文の徳とはよく言ったもので、今からぎり間に合うではないか。急いで身の回りを整えチェックアウトをする。

帰る路線は山口経由とした。大阪へは一旦離れるようなルートであるが8時の電車に乗れば23時までには大阪に着くことになる。

電車に乗り、雪に埋もれた出雲市を車窓から眺めながら山口へ向かう。山口県と島根県の県境あたりから雪が消えていく。なんだかとっても不思議だった。ちょっとしか距離が変わらないのに、雪に埋もれる町と雪がない町に不可思議なものを感じながら順調に旅は進んでいった。そして今回の雪深い旅は終わりを迎えたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る