第四話 合同イベント企画
今日はいよいよ、生徒会の話し合いの日です。初めての顔合わせなので、緊張する。
とりあえず、鍵を借りて一番最初に生徒会室に辿り着いた。
あとは、みんなを待つだけ。
「失礼します。あれ、雅刃さん。早いね。」
「最後にはなれませんから。」
「そっか。立派だね。」
「靭錠さんこそ、同じじゃない。」
「それもそうだね。」
とにかく、みんなが来るのを待つだけだ。
というわけで、みんな揃ったのはそこから5分後だった。
「皆さん、集まってくれてありがとうございます。今日は、第一回目の生徒会なので、軽く自己紹介と、あと院長先生からの合同イベントについて話し合います。」
「「「「「はい。」」」」」
で、自己紹介。誰からやろうか。
「じゃあ、俺から自己紹介するね。俺は、靭錠岩慈。星龍の生徒会長でした。これからよろしく。」
お手本のような自己紹介をしてくれる。
「じゃあ、次、誠二。お前がやれ。」
「はい、総長。」
答えたのは、相変わらずサラサラな茶髪を持っている人。
「こんにちは。僕は、星龍の副生徒会長、富矢誠二です。気軽に、富矢とでもお呼びください。これから、よろしくお願いします。」
かっこいい。
穏やかな口調で、ゆっくりと話してくれるから聞きやすい。
「じゃあ、次は東冶かな?」
「了解っす。」
口を挟んだのは無愛想な黒髪の吊り目の美人。
「俺は、露鎧東冶。星龍の生徒会書記です。よろしく。」
笑顔を見せることなく、淡々と述べていく。
必要最低限のことしか言わないのは、彼のモットーかしら?
でも、顔がいいから許されちゃうんでしょ。
「次は、星華の誰か、よろしく。」
「じゃあ、私がやります! お姉様にやらせるわけには参りませんもの。」
手を挙げたのは、まっすぐな長い黒髪を誇る、星華の生徒会書記。
いかにもお嬢様という風貌の、美女だ。
「初めまして、星龍の皆様。お久しぶりです、お姉様。星華の生徒会書記をしています、涼帛琴慈と申します。お気軽に、琴慈とお呼びくださいませ。」
お嬢様だ。
私ほどじゃないけど、彼女もいいとこのお嬢様なのだ。
「次は、お願いしていいでしょうか? 昭明さん。」
「もちろん。」
答えたのは、肩口で切り揃えられた上品な茶髪のボブに、パッチリとした瞳を持つ美少女。
「こんにちは。星華の副生徒会長、楼城昭明です。よろしくお願いいたします、皆様方。」
ふわんと微笑んだその顔は、まるで天使とも女神とも言える、慈愛に満ちた微笑み。
この学園の可愛らしいランキングは、おそらく彼女が一位だろう。
そして、全員の視線が一か所に集まる。
みんなの瞳に映るのは、漆黒の艶やかな髪を腰まで伸ばした、クールな麗人。
「わかっているわ、次は私なのでしょう?」
「こんにちは、皆さん。初めましての方はいないわね。雅刃鈴花です。星華の生徒会長をしています。これからも呼び出しするかもしれないけれど、来てくださいね。どうぞよろしくお願いいたします。」
にっこり微笑む。
「ご覧になって、皆様。この、お姉様の美しい笑みを! 国宝級ですわよね。永久保存版ですわ。心のアルバムに焼き付けておきなさい!」
琴慈さんは、私のファンだ。
とりあえず、全員自己紹介は終わったわね。
「じゃあ、自己紹介もしたことですし、早速合同イベントを企画していきましょうか。」
「は〜い。」
「まず、長さを決めましょう。どのくらいやりますか?」
「あ、決まってないの? じゃあ、二日くらい取っちゃおうよ。」
「それって、まさか、お泊まりですの⁉︎」
「そうだよ! 仲良くなるならこれしかないでしょ。」
「では、泊まりでやるということで。一泊二日でよろしいですか?」
「せっかくなら二泊三日してしまいましょうよ!」
「賛成〜!」
みんなが思い思いの意見を話していく。
「では、アンケートでもとりましょうか。」
「そうですわね。」
「では次、何をするか決めましょう。」
「はいはい、お姉様! 私、ダンスパーティーがしたいですわ。もちろん、社交ダンス。」
琴慈さんが提案する。
「社交ダンスパーティーですか。反対はありますか?」
「私は賛成ですね。仲を深めるにはちょうどいい。」
「面白そうだし賛成〜。」
「僕も。」
「俺も俺も〜。」
「じゃあ、全員賛成ですので、ダンスパーティーにしましょうか。でも、二泊三日ならだいぶ時間が余りますわね。どうしますか?」
「学年レクと学級レクでいんじゃないの?」
「あ、俺もそれ考えてた! レクやればいいじゃん。」
「では、反対はいませんか?」
みんなが頷く。
というわけで、以下の日程で合同イベントが開催されることになったことを紹介する張り紙が出され、人が集まった。
『星華・星龍交流イベント開催!
日時 5月1日から3日
場所 仙葉亭(雅刃財閥別邸)
持ち物 やる気
※ダンスパーティーを行います。社交ダンスを踊れない人は、特別講義に参加してください。衣装は持ち込み不可で、全て貸し出しします。
』
初めての合同生徒会の企画、絶対に失敗はできませんわ。
花と剣 鬼郷椿 @Tsubaki_K
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