第三話 生徒会
私は、常にみんなのお姉様だ。
気品のある行動を心がけ、丁寧な言葉遣いと対応で先生方を感嘆させることもできる。
そんな私を一番最初にお姉様と呼んだのは、昭明さんだった。
「あの、雅刃鈴花さん。私、鈴花さんのこと、お姉様とお呼びしてもよろしいですか? その、上流階級の方々は親愛を込めてそう呼び合うと本で読みましたの。」
この学校に来たばかりの彼女が、私に頼んだのだ。
可愛くて、愛おしくて、いじらしくて。つい、許可してしまった。
それが私のお姉様の始まりだ。
そういえば、院長先生からお呼ばれしていたのでした。
あまり聞き馴染みがないかもしれないが、私たちは学院に通っているので、校長ではなく院長なのだ。
なんのご用かしら。
「やあやあ、よく来たね。鈴花。」
「院長先生、ご機嫌麗しゅう。それで、ご用件はなんですの?」
「早いね。まぁ、それもまた一興。鈴花は、この間の全校朝会を覚えているかな?」
「はい。確か、生徒会で交流のためのイベントを企画…もしかして、それですの?」
「そうだよ。お願い、できるかな?」
わ〜い。お仕事だぁ〜。やだ〜。
「私だけですか?」
「いや、星龍の生徒会と星華の生徒会のコラボだ。ただ、まだ鈴花にしか言っていないから、他の人たちへの協力要請は鈴花に任せたよ。」
えぇ〜? お仕事いっぱいだ〜。
「承知しました。」
断れるわけないじゃない。
先生から名簿を受け取って会いに行く。
みんな、同じ二年生か。
って、あれ? 見覚えのある名前が…。
「靭錠さん。星龍の生徒会長は、靭錠さんだったのね。」
「ん? なんでそんなこと知ってるの?」
「私、星華の生徒会長なので。」
「すごい偶然だね。雅刃さんだったんだ。あ、だからお姉様なの?」
「いえ、それは違います。会長になる前から私はお姉様ですもの。」
「立派だね。統率力があるんだ。」
「そちらこそ。お互い様ではないかしら。」
そう、生徒会長は私と靭錠さんだった。
驚きよね。
「それで、どうかしたの?」
「えぇ。交流イベントを企画してほしいと院長先生から。生徒会が主催の、ね。」
「なるほど。じゃあ、生徒会もいよいよ始動?」
「そうなるね。頑張りましょう、生徒会長様。」
「そうだね、生徒会長殿。」
まずは、みんなに声掛けしなきゃ。
「星龍の生徒会はどんな人?」
「みんな、実力者だよ。能ある鷹は爪を隠さずって感じかな。」
「隠さないんだ。」
「とにかく、声をかけてみる?」
「私が行くわ。ただ、無理そうだったら手伝って。」
「もちろん。なんでも手伝うよ。」
じゃあまずは、星華の子たちから声をかけるか。
「こんにちは。楼城昭明さんはこのクラスね?」
「お姉様! 今すぐ呼んで参りますわ。」
私のファンが呼びに行ってくれる。
「お姉様? どうなさいまして?」
「昭明さん。明日から、生徒会再始動ですわ、ということを伝えにきましたの。よろしいかしら?」
「もちろんですわ。琴慈には私から伝えましょうか?」
「ありがとう。明日の放課後、生徒会室に。」
「わかりましたわ。」
琴慈とは、星華の生徒会書記、涼帛琴慈のことだ。名前の通り、ツンデレで涼しげな顔していつもいる。
まあ、可愛い。
よし、星華コンプリートね。
次、星龍の二人!
「こんにちは。」
「あらまぁ、お姉様! こんなところまで、どうなさったんですの?」
「ちょっと用事があるの。富矢誠二さんはこのクラスにいるかしら?」
「はい。お姉様も狙ってらっしゃるんですの? わかりますわ。」
ん? なんの話かしら。
「どうも、富矢誠二です。何かご用?」
現れたのは、茶髪の眼鏡をかけた男子。副会長というより書記とかが似合いそうな優しい誠実な雰囲気の人だ。
「私、星華学院生徒会長の雅刃鈴花です。あなた、星龍の生徒会副会長ですね?」
「まぁ、はい。もしかして、生徒会始まるんですか?」
「はい。生徒会再始動ですわ。明日の放課後、生徒会室に来てください。」
「わかりました。」
案外早く終わりましたわ。さて、書記はどうかしら?
「こんにちは。」
「お姉様! ようこそ、私たちのクラスへ。どなたかお探しで?」
「えぇ。露鎧東冶さんはこのクラスかしら?」
「はい、いらっしゃいますよ。」
彼は、星龍の生徒会書記。
「あんたが雅刃さん? 俺、忙しいんだけど。」
愛想が悪い人ですわね〜。
でも、黒いサラサラヘアーにちょっと吊り目なのはかっこいいかも。眼鏡が似合いそう。
「初めまして、露鎧さん。私、星華の生徒会長の雅刃鈴花です。」
「生徒会? またやるの? あれ。」
「はい。再始動ですわ。明日の放課後、生徒会室で。待っていますからね?」
「へいへい。行けばいいんだろ? 行けば。」
愛想悪っ!
私、気が合わない気がしてきた。
まぁとにかく、メンバーは集まったわね。
あとは、明日の放課後頑張ろう!
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