VSジェントルマン
俺は群馬の森攻略の最前線にいるはずの探索者に試験の為の監視役になってもらうためだけに、ケンカを売られていた。
にっと笑みを浮かべた彼は左腕を前にだし傘を頭の上に持ち構えている、まさにこの構えは。
「バーティツですねぇ...」
もう色々ありすぎて驚きもしないけどさぁ...
くぉれは正に紳士の武術ってやつじゃないっすかぁ...
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バーティツ
昔フランスの紳士達の間で流行ったと言われる最古の総合格闘技のようなもの。
シャーロック・ホームズで使われたバリツのモデルまたはバリツの正体であると言われている。
使われる武器は拳やステッキは勿論ブロードソード、レイピア、ダガーなど多岐に渡る
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「やはり分かるか少年ッ!!」
血走った眼でこちらを見てくるジェントルマン
おーけー前言撤回だ、こいつたぶん戦闘狂!!
まるで子供のようにはしゃぎ高揚を露にするジェントルマンとは対照的に俺は現状にかなり絶望している。
「逆に俺は知りたくなかったよジェントルマンさん」
両者構えをとったまま少しの間が経過し彼はこう訪ねる。
「そちらから来ないのですかね?」
ここぞとばかりに敬語に切り替えるジェントルマンに俺は返す。
「そりゃ俺が先制なんかしてもまともに攻撃できる未来が見えませんよ」
こっちが受けでも変わらないのだが初めてバーティツの使い手と戦ったとき一瞬で刀が封じられたのは今でもトラウマだ。
「はてさて君は未来予知でも持っているのかね?」
とぼけたように傘で俺の左頭部を狙ってくるがとっさの判断で太刀を間に挟むことにより防御したはいいが早いし強い!
やっぱりこの傘普通じゃないし中年ながらジェントルマンの力もやべぇ!
「しまっ」
抵抗する余地すら与えずそのまま小手先を器用に使い傘の先端を俺の頭の後頭部まで滑り込ませられた……そのまま衝撃が走る
遠目から見たら美しいそれも実際受けたらただの凶器だ
「ッ!」
一瞬意識が飛びそうになるが歯を食い芝って距離を取る。
「いやはやステータスって便利なものですよね、この老体でも若者に追い付けるのだから」
いやぜったいステータス無くても強いだろうに!
とかいまあのまま腹まで突こうとしたじゃん?!(泣)。
過去の経験からして危険なのは関節技なのだが他も侮れない。脇差を抜き更なる攻撃に備える振りをして攻撃!
通常の斬撃では間違いなく歯が立たない、ならばどうする?
斬撃を繰り返し油断した後の突き…!
考えどうりににしばらく斬撃を繰り返すが全く歯が立たない、たまに袈裟斬りや燕返し、初歩的なな技も混ぜて使うが上手く受け流され気づいたら手に傘のハンドルが迫ってるしでやっぱりバーティツは苦手だ
「ふんっ!」
ようやく突きを放ち意表を突いたら何故か鉄と鉄が真っ正面からぶつかり合うような音が波紋する。
「マジかよ...」
思わずそんな言葉が漏れてしまうのもしょうがないだろう……俺の太刀の突きは重心をちゃんと掛けてるだけあってもちろん重い、そもそも意表を突いてたはずなのに
――なのに……簡単に受けやがった、しかも傘の先端を綺麗に太刀の先端と会わせるように、まるで圧倒的な力を見せつけるように。
正にステータスの暴力
「この程度ですか……凡人とは、あなたの尊敬する剣はそこまでじゃないはずですが?」
静かだが力強く、鼓舞するように語り掛けてくるそれは圧倒的強者、それについても知っているしで、本当に厄介なのに絡まれちまった。
だけども、心のそこからふつふつ沸き上がるその怒りは誰への怒りだ?勿論...
「そんだけみたいなら見せてやるよ、俺達の剣を!」
師匠達に教えてもらったこの剣をバカにされるほど弱い俺への怒りだッ!
太刀は鞘に納め脇差を残す、おそらく手加減されているだろうがいま俺が勝てるのはスピードそして過去の経験。
なんといっても俺の流派は基盤が同じなだけで他は使い方によっても使い手によって型も何もかもが大きく変わる。
しばらくの間脇差と傘の、一見脇差が有利であろう剣戟が繰り広げられる。
そうしている間にも余裕そうに言葉を投げ掛けてくるジェントルマン。
「見せてやる俺達の剣を、でしたか?さっきまでの威勢はどこへ行ったのでしょうね?」
涼しい顔で攻撃を受ける所作は正に芸術、まるで心のうちを見透かしたような瞳や態度それら全てに怒りが湧く。
「ちゃんと見せてるぜ?俺達の剣を」
「寝言は寝て言いなさい」
「あんたもそろそろおねんねの時間かね?」
「おっと寝言じゃなく戯言の気分でしたか」
そんな低能な煽り会いもここで終わりだ、俺の体力が無くなってきている。
――準備も整った……こんな理不尽な戦いを終わらせるため、口を開く。
「そろそろ終わりにしよう」
それと同時におれは
――脇差を投げた。
そのまま体を前に倒すように急接近、鞘に手を掛け下から上へ引き上げ抜刀。その間はたったの数秒。
まさに勝ったと思ったその時
――腹に鋭い衝撃が走った。
かろうじて立つが気づいたときには傘のハンドルで首を引っかけられされるがままに地面に顔を伏せている。
その速度……
――正に初見殺し
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林野司 レベル 94 『37層パーティー推奨レベル85』
職業 バトラー
スキル 加速、縮地、消音、 アイテムボックス、 高速お茶注ぎ
称号 【有志】【ジェントルマン】【ゴブリンハンター】
攻撃力 121
防御力 154
素早さ 187
魔力 53
精神力 114
精神防御力 115
SP 125
その男はあまりにも早すぎた、丁寧な手捌きによりモンスターが反応を示す前に葬っていくその姿はいつしか……
――【ジェントルマン】と呼ばれ始めたのだ
◆◆◆
一月半ばに二話ほど更新してから止まってましたが昨日何故かレビューをいただきましてね、しかも星3
いったいこの作品の何が良かったのか分かりませんけど応援されたからにはやるしかないでしょう!
と言うことで一旦一話二話の調整を少々致しましてこちら完成した後に非公開にしたまま放置していた三話を少し治し投稿させていただきました。
筆が乗った現在未公開+同じジャンルの作品を20話以上貯めている訳ですがマイペースにこちらを公開しながらそちらの方も満足しだい更新していく予定でございます。
この作品を楽しみに居てくださる方が居れば安心してください!
履いてますよ!
ではなくて……何があろうとも現在公開している小説は死ぬまでなんとか終わらせますのでなにとぞよろしくお願い致します
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